研究実績の概要 |
不飽和カルボニル系への共役付加反応と酸化還元反応を組み合わせたドミノ型結合形成反応の開発を目的とする。有機金属に代表されるアニオン種がα,β-不飽和カルボニルへ共役付加すると求核的なエノラートを与えるため、求電子剤とさらに反応させれば複数の結合を一挙に形成できる。一方でラジカル種が不飽和カルボニルへ共役付加した場合は求電子的なラジカルが生じ、ビニルエーテル等の電子豊富オレフィンとさらに反応できる。求核的エノラートと求電子的ラジカルが酸化還元により相互変換可能であれば、結合形成反応の度に生じる新たな活性種を所望の基質と反応させることができる。①不飽和カルボニルへの共役付加、②酸化還元による極性転換、③生じた活性種の付加反応、をカスケード化して、多結合・多不斉点一挙構築へと展開する。 平成26年度はキラル配位子制御によるα,β-不飽和エステルへの不斉Aza-Michael反応を開始反応とした連続反応の開発に取り組んだ。すなわち、窒素上にアリル基を有するリチウムアミドを不飽和エステルに不斉共役付加させ、生じたリチウムエノラートに亜鉛塩を加えると、エノラートが分子内オレフィンに付加し、良好な収率、立体選択性で環化体を得ることができた。
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