研究実績の概要 |
不飽和カルボニル系への共役付加反応を契機とする連続反応の開発を目的とする。①不飽和カルボニルへのアニオン又はラジカルの共役付加、②酸化還元による極性転換、③生じた活性種の付加反応、をカスケード化して、多結合・多不斉点の一挙構築へと展開する。平成27年度は以下の成果を得た。 1) 前年度に見出した、N-アリルリチウムアミドのα,β-不飽和エステルへの不斉共役付加-生じたリチウムエノラートから亜鉛エノラートへの金属交換-分子内オレフィンへの環化反応について、基質一般性を検討した。不飽和エステルβ位の置換基によっては、エノラートの金属交換-環化反応の際にレトロAza-Michael反応が競合することが明らかとなった。 2) アニオン活性種の反応性は、当然ながらカウンターカチオンの種類によって変化する。アニオンを活性中間体とする連続反応の検討中、有機強塩基で発生させたアニオンの反応性に興味を持ち、ホスファゼン塩基から発生させた窒素アニオンの反応を検討した。その結果、ホスファゼン塩基触媒によるアミノアルケンの分子内ヒドロアミノ化反応を見出した。 3) ホスファゼン塩基触媒を用いた分子内ヒドロアミノ化による、1-ベンジルイソインドリン骨格形成に成功した。
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