研究課題/領域番号 |
26460028
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
江角 朋之 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (50315264)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ascospiroketals / aldol reaction / tetraalkylated / all-carbon / quaternary center |
研究実績の概要 |
【背景・目的】 (+)-ascospiroketal B は 2007 年,Königらにより海洋性真菌類 Ascochyta salicorniae の培養液から単離された新規ポリケチドであり,新規作用機構を有する抗結核薬開発のためのリードとして注目されている.当研究室ではキラルオキサゾリジノンを不斉補助基とする不斉1,4-付加反応とそれに続くα-アルキル化またはアルドール反応によりテトラアルキル四級炭素を含む連続不斉炭素を高ジアステレオ選択的に構築可能であることを見いだしている.私はその方法論を拡張する目的で不斉 α-水酸化反応の開発を行い,さらにその方法を適用し,(+)-ascospirroketal B をキラルに合成することで絶対配置を決定することにした.
【結果】 3-プロピン-1-オール (1) を根岸ヨードメチル化およびTBDPS化により2 へと変換後,一酸化炭素存在下パラジウム触媒を用いた一酸化炭素挿入を伴うキラルオキサゾリジノンとのカップリングにより3へと導き,さらにジビニル銅錯体を用いる不斉1,4-付加反応を行い,高ジアステレオ選択的に4を得た.得られた 4 のBayer-Villiger 酸化により立体選択的に α-位の水酸基を導入することを試みた.すなわち,4 をSHMDS で処理した後,アセトアルデヒドとの不斉アルドール反応に付し,β-ラクトン体 5 を単一の生成物として得た.5 をメチルリチウムと反応させ,6 へと変換後,mCPBA と反応させたところ,転位は全く起こらず,二重結合部分のエポキシ化と続く遊離水酸基の分子内求核攻撃により生じた 8 が得られるのみであった.そこで,先にジヒドロフラン環を形成させ,その後Bayer-Villiger 酸化するルートで検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
B パーツの合成は完了し,C パーツの合成もほぼ完了している.A パーツは 現在,Bayer-Villiger 酸化の条件を検討しており,ほぼ予定通りである.
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今後の研究の推進方策 |
A パーツの Bayer-Villiger 酸化条件を確立し,B, Cパーツと連結し,全合成を達成する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会にて研究発表を行う予定であったが,予想以上の研究結果が出たため,より格の高い学会で発表することにし,平成26年度の海外出張旅費を平成27年度国際学会発表用の海外出張費として繰り越すことした.
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次年度使用額の使用計画 |
24th International Symposium: Synthesis in Organic Chemistry (英国ケンブリッジ,7月20-23日)に参加し,研究発表を行う予定であり,繰越金はその海外出張旅費に使用する計画である.
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