研究実績の概要 |
本研究は、電気応答デンドリマーを利用することで、電位変化により薬物放出を制御するマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を構築することを目的としている。26年度は4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル-1-オキシル(4-amino-TEMPO)を修飾したポリアミドアミンデンドリマー(TEMPO-PAMAM)の合成およびTEMPO-PAMAMを利用した交互累積膜の調製と電気化学応答による崩壊の基礎的な実験を行った。TEMPO-PAMAMは4-amino-TEMPOとカルボキシル基を持つポリアミドアミンデンドリマー(PAMAM)をDMF中でDCCを用いて脱水縮合を行って合成した。合成したTEMPO修飾PAMAMのTEMPOの修飾率はおよそ0.1%であった。正電荷を持つポリエチレンイミン(PEI)と負電荷を持つTEMPO-PAMAMを用いてPEI/TEMPO-PAMAM交互累積膜を調製した。水晶振動子ミクロバランス法を用いて評価した結果、PEI/TEMPO-PAMAM交互累積が作製できることがわかった。また、作製したPEI/TEMPO-PAMAM交互累積膜修飾電極を用いて+0.7 Vの電位を印加して電解後の膜の崩壊について検討を行った。大きな変化が観察されなかったため、電気応答による崩壊は見られなかった。これは、TEMPOの修飾率が少ないため十分な電気化学的な反発がなかったためと推察される。今後、TEMPOのPAMAMへの修飾率の向上および違う電気化学活性種の利用して崩壊特性の向上について検討を行う。
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