研究課題
本研究は,ナノモル濃度のリン酸化分子を選択的に捕捉するオリジナルな消光性リン酸基結合タグ分子(消光性フォスタグ)を用いたリン酸化シグナルの定量解析法の開発を目的とする。その研究手法は,従来のリン酸化分子の分析法(放射性リン同位体法,抗リン酸化抗体法,リン酸基親和性単核金属錯体法)と比較して,より網羅的なリン酸化シグナルの高精度な定量解析を可能にし,簡便な操作性や安全性などの利点をもち,癌やアルツハイマーなどの治療薬や診断法の開発に役立つ新しい分析技術である。本年度は,平成26年と同様の研究方法でスペーサーなどを改良した消光性フォスタグの合成を継続した。さらに,創薬や病態診断分野で注目されているキナーゼやフォスファターゼ基質の蛍光標識体を用いた様々なリン酸化シグナル解析のプレリミナリーな検討を行った。その結果,キナーゼ阻害剤のシーズ探索が可能なプロトコルが得られた。また,マイクロビーズにフォスタグを結合させた固相に蛍光性リン酸化整体分子(リボフラビンリン酸など)を固定化したものと,消光性フォスタグを組み合わせた分析システムを構築することができた。今後,疎水性面メンブレン,マレイミド結合型プレート,アビジン-ビオチン系固定化ビーズなどを用いて,複数の蛍光性基質ペプチドや蛍光性蛋白質を固定化した分析試料のリン酸化量の蛍光定量分析についても検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画にしたがって,問題なく順調に研究成果が得られており,学内外でその研究成果を発表している。さらに新規の亜鉛錯体結合型担体の開発に成功した。
最終年度は,簡便かつ迅速な整体分子のリン酸化解析を可能にする蛍光分析プロトコルをできるだけ多く作成し,論文や学会発表により公開していきたいと思います。新規亜鉛錯体結合型担体を用いた蛍光分析システムの開発も検討していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
MethodsX
巻: 2 ページ: 469-474
10.1016/j.mex.2015.11.007