研究課題
メタロ-β-ラクタマーゼであるKHM-1は、セフェム系β-ラクタム剤に対して、非常に効率よく加水分解を行うZn含有酵素である。本研究では、同じメタロ-β-ラクタマーゼであるIMP-1と比較して、KHM-1の高効率加水分解機構を分子レベルで理解することが目的である。そのために、IMP-1とKHM-1のアミノ酸配列を比較して、高効率加水分解に重要そうなKHM-1のアミノ酸を特定した。このアミノ酸の役割を、KHM-1遺伝子に変異導入を行い、速度論的解析とX線小角散乱による液体構造の比較によって、KHM-1の高効率加水分解反応のメカニズムを解明する。平成26年度は、X線小角散乱を使ってKHM-1の溶液構造を調べるために、KHM-1の高純度精製条件の検討を行った。今までは、大腸菌内で大量発現させたKHM-1は、イオン交換カラムとゲルろ過カラムで、精製を行ったが、さらに疎水性カラムを使うことで、より高品質・高純度のKHM-1を精製することができた。精製度の確認は、今までのSDS-PAGEだけでなく、MALDI-TOF/MSを利用することで、高品質の確認が行えるようになった。またKHM-1変異酵素の調製を行うために、KHM-1遺伝子に変異を加える実験を行った。しかし、市販の変異実験用キットや実験条件を検討したが、KHM-1遺伝子に目的の変異導入ができなかった。現在、primer設計とサブクローニングの見直しを行っている。
2: おおむね順調に進展している
KHM-1遺伝子の変異導入の位置は特定したが、市販キットによる変異導入ができなかった。これは、KHM-1遺伝子が、大腸菌内で大量の蛋白質を発現させるためのpETベクターに組み込まれている可能性が考えられた。またprimer設計を見直す必要がある。その他は、x線小角散乱のための高純度精製法を確立することができた。
連携研究者と連携して、KHM-1遺伝子の変異実験を進めて行く。また研究協力者である学生と共に、KHM-1遺伝子の変異実験の加速を図りたい。KHM-1遺伝子に変異導入することができれば、HKM-1変異酵素を調製して、速度論的解析を行う。これも研究協力者の学生と共に行う。X線小角散乱によるKHM-1の実験では、KHM-1変異酵素が大量に必要となる。これも研究協力者の学生と共に、精製法の検討を行う。
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Biol. Pharm. Bull.
巻: 38 ページ: 96-101
10.1248/bpb.b14-00594.
http://www.yamaguchi-labo.jp/