研究課題/領域番号 |
26460040
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
尾関 哲也 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60277259)
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研究分担者 |
田上 辰秋 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (10609887)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / 経肺投与 / 金ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
これまでに多くの機能性ナノ粒子が開発・研究されてきたが、その多くは、注射剤であり、従来型の低分子医薬品と比較して実用性に劣っていることが問題とされている。本研究の目的は、将来のナノ医薬品として期待されている機能性ナノ粒子の実用性を高める一つの方法として、吸入により、肺組織の深部である肺胞領域に到達後、単層の肺胞上皮細胞を通過して血中に到達できるような、経肺投与を介した機能性ナノ粒子の送達経路に関する研究・開発を行うことである。
今年度は上記の研究計画を踏まえ、機能性ナノ粒子の開発として、血中・血清中だけでなく、経肺投与後の肺組織内においても対応できる、新しいタイプの善玉コレステロール模倣金ナノ粒子の調製を目指した。金ナノ粒子表面には、炎症動脈硬化に有用な機能性分子(アポリポタンパクA1やスフィンゴシン1リン酸)を搭載できるだけでなく、他の機能性高分子(siRNAなどの短鎖RNA)を修飾することが可能であり、興味深い多機能性ナノ粒子の開発に至る可能性を見いたすことができた。また、粒子核となる金ナノ粒子の調製法について、詳細に検討を行った。その結果、還元剤の種類・濃度の最適化を行うことにより、5-30 nm の粒子径のナノ粒子を調製することができた。これは、申請書の目的に記載していたように、肺胞上皮細胞を透過できるような極小のナノ粒子(10 nm)が調製可能であることを示したことになる。以上の結果より、様々な治療分子を表面修飾した善玉コレステロール模倣金ナノ粒子を調製することにより、血中だけでなく、肺組織内においても治療効果を持つようなナノ粒子が調製できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に行う経肺投与型製剤の調製を行う際、肺胞上皮細胞から血中に到達できるような、極小(<10 nm)の金ナノ粒子が調製できれば、研究計画の進行に問題はないと考えられる。今回の検討により、10 nm以下の金ナノ粒子が調製できただけでなく、5-30 nmに粒子径の制御も行うことができた。さらに多様な治療分子を金ナノ粒子表面に搭載することもでき、善玉コレステロールを模倣した新しいタイプの金ナノ粒子製剤を開発することができた。従って、次年度に向けた準備が十分に整ったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、目的に従い、吸入により、肺胞深部に効率的に到達できるようなナノコンポジット粒子(マイクロ粒子中に金ナノ粒子が含有・分散しているもの)の設計、ならびに、肺胞到達後に、溶解したマイクロ粒子からナノ粒子が露出する際、ナノ粒子が凝集していないような製剤技術の開発を行うことが次の目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
余剰金額が10000円以下なので、ほぼ当初の計画に従って実行したと考えている。 来年度以降も、計画に従い、助成金を使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
余剰金額が10000円以下なので、ほぼ当初の計画に従って実行したと考えている。 来年度以降も、計画に従い、助成金を使用する予定である。
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