研究課題/領域番号 |
26460045
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
深水 啓朗 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20366628)
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研究分担者 |
尾関 哲也 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60277259)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医薬品共結晶 / コクリスタル / ラマン分光法 |
研究実績の概要 |
2014年度は研究実施計画に基づき得られた成果について,3件の学会発表を行った.そのうち最大の成果としては,米国ネバダ州で開催されたSCIXミーティングにおいて,「Ultralow flequency Raman spectroscopy for pharmaceutical application」という演題で,製剤中における医薬品コクリスタルの低波数ラマンイメージングに関する研究結果を世界に先駆けて公表できたことである.この発表を通じて,国内では国立医薬品食品衛生研究所,海外ではOndax社との技術協力が進み,今後の研究期間において必要な基盤を強固に形成することができた. ナノスポット法の基本的な技術や条件検討は計画の通りに進んでいるが,特許出願の可能性を考慮して,学会での発表は控えることにした.公知と考えられる部分の周辺技術に関してのみ,製剤機械技術学会の年会で発表した.核心的な技術に関しては次年度以降に公表を目指す予定である.現時点では,モデル薬物としてアセトアミノフェン,カルバマゼピン,カフェインについて検討し,一般的に使用されている医薬品添加物のグループをカウンター分子としてリスト化し,探索スクリーニングを試行している.原薬分子の特性によって微細結晶の形成や顕微ラマン分光法での検出結果に様々な差が認められた.これらの特徴を把握しつつ,一般的な手法として拡張できるように条件を最適化している段階である. 【現在までの達成度】の欄で後述するが,研究代表者は2014年度の途中から研究機関を変更することとなった.新しい機関では研究室の責任者を務めることになったので,可及的速やかに人員,施設を整え,技術基盤になお一層の充実を図る予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度は,研究代表者が年度途中で所属機関を変更することになり,研究の中断あるいは延滞が懸念されたものの,新旧の所属機関が実務と事務レベルで連携することにより,シームレスな活動ができたと考えられる.学会発表も旧機関と連名で行うなど,両者の協力関係も良好に継続できているので,必要に応じて研究施設を借用しつつ,順次,技術移転を進めているところである.現在の所属部署では研究代表者が研究室の責任者を務めることになり,研究エフォートを自身で差配することができるので,新機関でのリソース不足を適宜補いつつ,研究体制の再構築を図っている.
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今後の研究の推進方策 |
2015年度より卒業研究生が6年制学科から7名,4年制学科から2名が配属された.また,大学院生1名と研究生1名も加わったので,研究テーマを適宜配分し,本研究課題についても検討を開始している.さらには新たに助教が着任したことから,研究分担者としてグループに加えることで実務面でのスピードアップが期待される. 国内外との研究体制としては,分担者として加わっている名古屋市立大学大学院に加え,国立医薬品食品衛生研究所から分光分析に関する技術的な指導を受けつつ,米国のKaiser Optics社ならびにOndax社とハードウェア面での協力体関係を継続できていることから,技術的な困難について対処できる体制が整っていると考えられる. また,本年度の11月には新たな卒研生が配属されるため,より充実した人員で研究を推進していくことが可能である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が年度途中で所属機関を変更することになり,僅かながら研究の休止期間が生じ,実験の実施時期が次年度以降にシフトしたためである.
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次年度使用額の使用計画 |
新規に研究のための人員ならびに施設が確保できているので,次年度以降で取り戻すことが十分に可能である.国内外の研究分担者との打ち合わせ,共同研究に旅費を使用する他,海外での発表(講演)機会も増えているので,広く成果を公表する計画である.
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