研究課題/領域番号 |
26460045
|
研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
深水 啓朗 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20366628)
|
研究分担者 |
尾関 哲也 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60277259)
井上 元基 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (90722950)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 医薬品共結晶 / コクリスタル / 低波数ラマン分光法 |
研究実績の概要 |
2015年度は,研究実施計画に基づいて得られた成果について,国内外で8件の学会発表を行った.本研究および我々の研究グループが広く認知され始めていると考えられ,招待講演が全体の半数以上(5件)となった.また,本法を開発している過程で見出された新たな周辺技術として,製剤(錠剤)中に含まれる微量の医薬品コクリスタルおよびその原料を低波数ラマン分光法でケミカルイメージングし,原薬となるコクリスタルおよび不純物扱いとなる原料の検出及び識別,ならびにそれらの分布を明らかとした結果について,短報ではあるが,投稿論文が査読付きの国際誌に掲載された. ナノスポット法自体の開発は順調に進んでおり,微小容量の試料溶液をスポットするガラス表面の疎水化試薬を見出し,カフェインをモデル薬物として10種類のコフォーマーを組み合わせ,超微量でコクリスタルの形成を確認できた結果をまとめ,査読付きの国際誌に論文を投稿中である.現在の医薬品コクリスタルを取巻く諸事情と,本法の実用性や完成度を考慮して,本法の知的財産権を獲得するよりも技術の普及を優先し,各所からのフィードバックによる更なる進展を期待することとした. 今年度までで,ナノスポット法の根幹である,微細結晶の析出と顕微ラマン分光法による測定技術が確立したと考えられるので,表面増強ラマン効果を利用した感度の向上や,低波数ラマン分光法による検出精度の向上に加え,新たな結晶化方法の追加検討を考案中であり,より実用性の高い方法の開発を目指している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度に旧所属先から装置および技術の移管が順調に進行し,現所属における結果の再現性を確認することができた.また,昨年度まで国立衛研に設置されていた顕微ラマン装置が本所属に移設されたため,より一層の効率化が達成された.さらに,Ondax社製の低波数分光フィルターのユニットが当該ラマン装置に装着されたことから,検出装置のコンフィグレーションとしては当初の計画がすべて達成された.また,ナノスポット法の基本技術となる微細結晶の析出ならびに顕微ラマン分光法による測定技術を確立した.
|
今後の研究の推進方策 |
2016年度は,卒業研究生が6年制学科から12名,4年制学科から2名が配属された.また,社会人大学院生2名と研究生1名も新たに加わった.そのうち4年制学科の学生1名は修士課程に進学を希望しているため,本研究の実務を中心に担当することが期待できる.2014年度半ばに開設された本研究室は学内外から新たなメンバーを加えて増員中であり,適切に配置,再構成することにより,機能的な研究組織の整備を急いでいるところである, 国内外の研究体制としても,名古屋市立大学大学院との共同研究,国立衛研との技術交流,米国Ondax社,Kaiser Optical System社との技術提携を継続しており,引き続き,情報を共有しながら進めていく計画である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,研究代表者の所属機関変更にともない,少額の未使用分が生じたため,その影響を持ち越したためである.
|
次年度使用額の使用計画 |
研究計画の遅延は認められないため,次年度で計画通りに使用できる予定である.
|