研究課題/領域番号 |
26460051
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
栗本 英治 名城大学, 薬学部, 准教授 (90234575)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロテアソーム / リング / バイオ素子 / 集積 |
研究実績の概要 |
α7が形成するホモダブルリングをベースとしたタンパク質の集積化を図るため、モデルタンパク質として緑色蛍光タンパク質(GFP)を用い、α7サブユニットのN末端およびC末端にGFPを融合した変異タンパク質(GFP-α7、α7-GFP)を作成した。GFP-α7はゲルろ過の溶出位置から一定の構造の複合体を形成することが認められたが、ダブルリングの形成は認められなかった。また、α7-GFPは大腸菌体内で沈殿し、封入体を形成した。そこで、α7のリングとヘテロリングを形成する性質を持つα6にGFPを融合した変異タンパク質GFP-α6を作成し、GFP-α7とのヘテロリング形成を解析した。その結果、両者の混合によりヘテロダブルリングが形成されることが認められた。しかし、その形成速度は遅く、また形成率も低かった。そこで、大腸菌体内での共発現を試みた結果、蛍光タンパク質が融合したヘテロダブルリングが効率よく形成されることが明らかとなった。in vitroにおける低形成率の原因は、GFP-α7が凝集体を形成していることにあると考えられる。そこで、N末端を削除してヒスチジンタグを付加することにより単量体化したα7を用い、GFP-α6とのリング形成を解析した。その結果、両者はin vitroにおいても効率よくヘテロダブルリングを形成することが判明した。このように、N末端にタンパク質を融合したα7によるダブルリング形成が困難な場合、α6を用いる方法が有効であり、この際、α7が単独で凝集体を形成しないようにする工夫も必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α7サブユニットのN末端、C末端にGFPを融合した変異タンパク質は、ダブルリング構造を形成しなかったが、α6サブユニットのヘテロリング形成能を利用して、蛍光タンパク質が融合したリングを形成させることができた。このように、リング上にタンパク質を集積化する方法について有益な結果を得ることができており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
α7とα6サブユニットが形成するヘテロリングを利用して、GFPの集積化に成功した。今後は、同様の手法により他のタンパク質の集積化を試みるとともに、タンパク質融合型α7のホモダブルリングやシングルリング形成にも取り組み、プロテアソームリング構造を基盤とした多様なタンパク質集積化手法の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度は、集積化するタンパク質としてGFPをモデルとして用い、それがリング構造上に集積される様々な条件の検討を行った。実験において取り扱うタンパク質が限定的であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は、集積化を図るタンパク質として、GFP以外のタンパク質も対象とする。そのために必要な、遺伝子工学用試薬およびタンパク質調製用カラムなどの購入に充てる。
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