前年度までの研究において、α6のN末端に緑色蛍光タンパク質(GFP)を融合したGFP-α6は、α7のホモダブルリングに加えてもヘテロダブルリングは形成しないが、ホモリング形成せず単量体となるN末端欠損体(ΔN-α7)と組み合わせることにより、効率よくヘテロダブルリングを形成することが明らかとなった。野生型α7のリングを塩酸グアニジンで一旦変性させリフォールディングすると、直ちにリングは形成されず単量体の状態となる。そこで、このrefolded α7とGFP-α6との相互作用を解析した結果、ΔN-α7の場合と同様にヘテロダブルリングが形成され、GFP-α6による効率的なリング形成にはα7の単量体化が有効であることが確認された。これに対して、C末端にGFPを融合したα6-GFPでは、GFP-α6と異なりダブルリングを形成しているα7への添加においても高効率でヘテロダブルリングを形成することが明らかとなった。以上より、α7のホモダブルリングからα7/α6ヘテロダブルリングへの変換の際に、α6サブユニットのN末端領域が重要な役割を果たすことが示唆された。この他、α6およびα7のヘテロリング上へのタンパク質集積度を高めるために、α6のN末端、C末端の両方に蛍光タンパク質を融合したコンストラクトを作成し、単量体型α7との相互作用を解析した結果、両者はゆっくりとヘテロダブルリングを形成することが判明した。 本研究により、α6およびα7によるヘテロダブルリング形成のメカニズムについて有用な知見を得ることができた。また、サブユニット両末端へのタンパク質融合により、集積度をより高めることが可能であることが示された。これらの結果は、今後、様々なタンパク質のヘテロリング上への高度な集積化に繋がることが期待される。
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