研究課題/領域番号 |
26460052
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
山本 昌 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00166779)
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研究分担者 |
草森 浩輔 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (90707407)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経皮吸収 / テリパラチド / マイクロニードル / 骨粗鬆症 / 吸収改善 |
研究実績の概要 |
骨粗鬆症治療薬の一種である parathyroid hormone (PTH) は、現在、臨床上、注射により投与されているが、注射は痛みを伴い、またアレルギーなどの副作用も発現しやすいため、有効かつ安全性の高い PTH の新規投与形態の開発が望まれている。そこで、本研究では、PTH の生理活性部分であるテリパラチドを表面にコーティングしたマイクロニードルを調製し、本マイクロニードルを皮膚に適用し、その有効性ならびに安全性について評価した。 まず、in vitro において、テリパラチドを表面にコーティングしたマイクロニードルからのテリパラチドの放出性を検討したところ、テリパラチドは速やかに放出され、30分以内でほぼ100%の放出が観察された。また、本テリパラチドコーティングマイクロニードルを皮膚に適用したところ、針が折れることなくマイクロニードルが皮膚に挿入されたことから、皮膚の角質層を貫通するのに十分な強度を有していることが確認された。さらに、マイクロニードルの先端部にコーティングされたテリパラチドは、皮膚適用後、約180分で溶解したことから、薬物放出実験との相関性が確認された。 一方、テリパラチドコーティングマイクロニードルを皮膚適用後の水分蒸発量 (transepidermal water loss, TEWL) を測定したところ、マイクロニードルを皮膚に適用することにより TEWL値は一過性に増大するものの、時間経過と共に回復することが明らかとなった。したがって、本マイクロニードルの皮膚障害性は可逆的なものであることが認められた。 以上のことから、本テリパラチドマイクロニードルは、注射に代わるテリパラチドの非侵襲的な新規投与形態として有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、初年度においては、テリパラチドがきわめて高価であることから、テリパラチドに分子量が類似しているモデル化合物として、平均分子量約 4,000 の fluorescein isothiocyanate-labelled dextran (FD4) を用いてマイクロニードルを調製し、FD4を搭載したマイクロニードルからの FD4 の放出性、皮膚挿入性、皮膚適用後の溶解性、FD4 の皮膚透過性、経皮吸収性及び安全性などの基礎的な検討を行う予定であった。しかしながら、共同研究先の企業であるコスメディ製薬からテリパラチドの供給が可能になり、またテリパラチドをコーティングしたマイクロニードルの調製もできる目途がついたことから、本年度から直ちにテリパラチドをコーティングしたマイクロニードルを用いたテリパラチドの経皮吸収改善に向けた基礎的な検討を行った。 その結果、上述のように、マイクロニードルからのテリパラチドの溶解、放出性の検討、マクロニードルの皮膚貫通能力の確認ならびに、マイクロニードル皮膚適用後の安全性などについて評価することが可能になった。
以上のことから、研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において、上述のように、マイクロニードルからのテリパラチドの溶解、放出性の検討、マイクロニードルの皮膚貫通能力の確認ならびに、マイクロニードル皮膚適用後の安全性などについて評価することができた。しかしながら、テリパラチドを表面にコーティングしたマイクロニードル適用後のテリパラチドの皮膚透過性、経皮吸収性ならびに骨粗鬆症動物モデルに対する薬理効果の評価は、まだ行っておらず、次年度以降でこれらテリパラチド表面コーティングマイクロニードルの有効性についてさらに検討していく予定である。
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