研究課題
29年度は、補助事業期間延長により、当初の目的であった生体酸化ストレスマルチマーカーを同時計測する高感度分析法の開発及び応用について、研究成果を取りまとめ、また酸化ストレス及び関連ストレスの要因となるタバコ煙曝露と生活習慣との関連性を解析した。1. ネガティブ/ポジティブモード切り替えによる8-OHdG、8-イソプロスタン、3-ニトロチロシンの連続一斉インチューブSPME/LC-MS/MS分析法の研究成果をJ. Sep. Sci.(Impact factor 2.557)誌に発表した。2. 糖化ストレスのバイオマーカーであるカルボキシメチルリシン、ペントシジン、ピラリンなどをインチューブSPME/LC-MS/MS法により一斉分析する高感度分析法を開発し、毛髪試料分析に応用した。3. 酸化ストレス及び関連ストレスの要因となるタバコ煙曝露と生活習慣との関連性を解析するために、タバコ煙に含まれるニコチン及び代謝物コチニンをバイオマーカーとして、インチューブSPME/LC-MS/MS分析法を開発し、毛髪試料分析に応用した。4. 喫煙や受動喫煙の状況、食習慣やストレスの有無(頻度)などをアンケート調査して、毛髪中への酸化ストレスマルチマーカー及び糖化ストレスバイオマーカーやタバコ煙曝露マーカーの毛髪への蓄積から、タバコ煙曝露が酸化ストレス及び関連ストレスに影響を及ぼすことを複合的に解析できた。全研究期間において、生体酸化ストレス関連マルチマーカーを同時計測することで、どのバイオマーカーが影響しているのか、特に喫煙との関連で明らかにできた。本研究は、非侵襲的に酸化ストレス及び関連ストレスの実態を選択的かつ高感度に測定でき、疾病の早期診断や生活習慣との関連から疾病予防につながり、今後、急性及び慢性の酸化ストレス発生メカニズムの解明など関連分野への波及効果が期待できる。
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