本研究では、TLR4刺激抗体による1型糖尿病抑制機序の解明を通じて、新しい自己免疫疾患の発症予防・治療の基盤構築を目的にした。TLR4刺激抗体は、NODマウスの1型糖尿病の発症を予防するだけでなく、発症した1型糖尿病の自己免疫病態を寛解させることを明らかにした。TLR4刺激抗体の1型糖尿病抑制効果は、自己反応性T細胞の直接的抑制ではなく、樹状細胞への免疫寛容誘導や制御性T細胞、骨髄由来免疫抑制細胞の誘導を介した間接的作用機序であると考えられた。このような自然免疫を標的とした1型糖尿病の治療効果の発見は、既存の治療戦略とは異なる自己免疫疾患の新規治療法・治療薬開発につながる可能性がある。
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