セラミドキナーゼに結合する蛋白質を網羅的に探索した。まず、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ (GST) を融合したセラミドキナーゼを大腸菌に発現させるためのプラスミドベクター、及びビオチン化したセラミドキナーゼを培養細胞に発現させるためのプラスミドベクターを作製した。その後、まず大腸菌にGST融合セラミドキナーゼを発現させ、グルタチオンビーズを用いてセラミドキナーゼを精製した。この精製蛋白質を細胞溶解液とインキュベートし、グルタチオンビーズを用いてGST融合セラミドキナーゼをプルダウンした。サンプルをSDS-PAGEにより分離し、トリプシン消化した後に質量分析装置を用いてセラミドキナーゼに結合する蛋白質を同定した。また、培養細胞にビオチン化したセラミドキナーゼを一過性発現させ、その細胞溶解液からストレプトアビジンビーズを用いてビオチン化セラミドキナーゼをプルダウンした。その後、同様に質量分析装置を用いてセラミドキナーゼに結合する蛋白質を同定した。その結果、セラミドキナーゼに結合する蛋白質を複数同定することに成功した。同定された蛋白質のうち、中枢神経系機能の調節に重要な蛋白質Aまたは蛋白質Bを培養細胞に一過性発現させたところ、フィロポディアの形成が観察され、それはセラミドキナーゼを阻害することで抑制された。従って、セラミドキナーゼは蛋白質Aや蛋白質Bと協調してフィロポディアの形成を調節する可能性が示唆された。
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