研究課題
* ERからのGPCR搬出量制御(糖鎖修飾):α2bアドレナリン受容体は、N型糖鎖修飾を受けないが、構造変異受容体が膜に発現しないことから糖鎖修飾非依存的な品質管理機構が存在することを既に推察している。26年度は、プロテアソーム阻害剤実験や共焦点顕微鏡観察による局在解析で、糖鎖付加のないこの受容体もERADによる品質管理を受けていることを確認した。また、この品質管理に関わる因子としてOS9を検討しているが、この分子とα2bアドレナリン受容体の結合領域の検討を開始した。なお、N型糖鎖修飾とGPCRの品質管理に関しては、ナイアシン受容体(GPR109a)についても行い、従来型とは異なるN型糖鎖修飾モチーフ(N-X-Cモチーフ)を見いだし、この通常とは異なるモチーフの生理学的意義(なぜ正常型モチーフではダメなのか)についても検討した(平成27年度論文発表予定)。* 細胞内取込み、リサイクル制御(リン酸化、ユビキチン化):ロイコトリエンB4の第一受容体(BLT1)は未刺激状態で既に5カ所のリン酸化修飾を受けており、リガンド刺激に伴い、これに2カ所のリン酸化修飾が加わることを確認した(詳細な修飾部位は未発表)。前者のみ、後者のみ、全てのリン酸化部位の3つの欠損型BLT1の作製が終了し、現在、これらの修飾の生理学的意義を検討中である。ユビキチン修飾解析に関しては、候補ユビキチンリガーゼのBLT1結合領域を推定し、また、このユビキチンリガーゼがBLT1のみならず、広範なGPCRに結合することを示唆した。その他のBLT1結合蛋白質に関しては、現在もユビキチンスプリット型酵母2-ハイブリッドスクリーニング法で探索中である。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画を達成でき、また、N型糖鎖研究に関しては、当初計画にない新たな研究も成功に導くことができた。
計画2年目である平成27年度は、糖鎖修飾、リン酸化修飾、ユビキチン修飾のGPCR機能、細胞内輸送における重要性をさらに明らかにし、論文化に向けて仕上げの実験を進めていきたいと考えている。基本的な推進方策に関しては変更はない。平成26年4月より岡山理科大学理学部に教授として着任し、新しい研究室を立ち上げた。東京大学時代と比べ、研究環境に不十分な点はあるが、GPCRに関する創薬基盤研究をさらに広げるために新しい課題にも取り組むつもりである。
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