研究課題
P4-ATPase(flippase)であるATP8B1は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)の原因遺伝子の一つである。ATP8B1はこれまでホスファチジルセリンのflippaseと考えられてきたが、この定説を覆し、ホスファチジルコリンを特異的な基質とすることを新たに見出した。ATP8B1の変異による胆汁うっ滞症には、進行性家族性肝内胆汁うっ滞(PFIC1)と、より症状の軽い良性反復性肝内胆汁うっ滞(BRIC1: benign recurrent intrahepatic cholestasis 1)がある。本研究では、両方の遺伝病由来の様々な変異を導入したATP8B1の変異体を作製した。ほとんどの変異体は細胞に発現せず、プロテアソームの分解経路によって分解されてしまうことが分かった。そのうち、野生型と同様に細胞で発現し、細胞膜に局在する変異体を見出した。さらに、この変異体ではホスファチジルコリンのflip活性が欠損していることを見出した。
2: おおむね順調に進展している
計画通り、PFIC1由来のATP8B1変異体の安定発現株の樹立や局在の解析を行った。さらに、変異体の安定発現株を用いてflippase活性測定を行い、活性が欠損している変異体を見出した。
ATP8B1以外のホスファチジルコリンをflipするP4-ATPaseを探索する。野生型およびflip活性を持たないPFIC変異型のATP8B1を安定発現する肝細胞および極性細胞株を樹立し、flip活性を比較検討する。ホスファチジルコリン活性の亢進および欠損による肝細胞の胆汁酸分泌、細胞の形態変化、極性形成、膜組成変化、微絨毛の形成などを検証していく。
フリップ活性の測定の実験が少し遅れたため。
フリップ活性の測定結果が遅れたが、1ヶ月ほどで遅れた結果が出る予定である。
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Journal of Biological Chemistry
巻: 289 ページ: 33543-33556
10.1074/jbc.M114.593012