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2014 年度 実施状況報告書

生体膜の非対称性の維持機構とその破綻による胆汁うっ滞発症の仕組み

研究課題

研究課題/領域番号 26460065
研究機関京都大学

研究代表者

申 惠媛  京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10345598)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードP4-ATPase / PFIC / 胆汁うっ滞 / リン脂質
研究実績の概要

P4-ATPase(flippase)であるATP8B1は、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)の原因遺伝子の一つである。ATP8B1はこれまでホスファチジルセリンのflippaseと考えられてきたが、この定説を覆し、ホスファチジルコリンを特異的な基質とすることを新たに見出した。ATP8B1の変異による胆汁うっ滞症には、進行性家族性肝内胆汁うっ滞(PFIC1)と、より症状の軽い良性反復性肝内胆汁うっ滞(BRIC1: benign recurrent intrahepatic cholestasis 1)がある。本研究では、両方の遺伝病由来の様々な変異を導入したATP8B1の変異体を作製した。ほとんどの変異体は細胞に発現せず、プロテアソームの分解経路によって分解されてしまうことが分かった。そのうち、野生型と同様に細胞で発現し、細胞膜に局在する変異体を見出した。さらに、この変異体ではホスファチジルコリンのflip活性が欠損していることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り、PFIC1由来のATP8B1変異体の安定発現株の樹立や局在の解析を行った。さらに、変異体の安定発現株を用いてflippase活性測定を行い、活性が欠損している変異体を見出した。

今後の研究の推進方策

ATP8B1以外のホスファチジルコリンをflipするP4-ATPaseを探索する。
野生型およびflip活性を持たないPFIC変異型のATP8B1を安定発現する肝細胞および極性細胞株を樹立し、flip活性を比較検討する。ホスファチジルコリン活性の亢進および欠損による肝細胞の胆汁酸分泌、細胞の形態変化、極性形成、膜組成変化、微絨毛の形成などを検証していく。

次年度使用額が生じた理由

フリップ活性の測定の実験が少し遅れたため。

次年度使用額の使用計画

フリップ活性の測定結果が遅れたが、1ヶ月ほどで遅れた結果が出る予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Phospholipid flippase activities and substrate specificities of human type IV P-type ATPases localized to the plasma membrane.2014

    • 著者名/発表者名
      1.Takatsu, H., Tanaka, G., Segawa, K., Suzuki, J., Nagata, S., Nakayama, K., and Shin, H.-W.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 289 ページ: 33543-33556

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.593012

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Type IV P-type ATPaseの基質特異性と細胞機能2015

    • 著者名/発表者名
      申 惠媛
    • 学会等名
      第53回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      金沢大学角間キャンパス
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-15
    • 招待講演
  • [学会発表] P4-ATPaseによるリン脂質の量的・質的変容と膜変形を伴う細胞機能の関係2014

    • 著者名/発表者名
      申 惠媛
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • 招待講演
  • [学会発表] ホスファチジルコリンのフリップ-フロップの相関性の破綻とPFIC(進行性家族性胆汁うっ滞症)2014

    • 著者名/発表者名
      高津 宏之
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • 招待講演
  • [学会発表] クラス5 P4-ATPaseの細胞内局在およびリン脂質フリップ活性2014

    • 著者名/発表者名
      内藤朋樹
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] ATP8B1とABCB4の協調的なリン脂質のフリップ・フロップと新構成家族性肝内胆汁うっ滞症の関係2014

    • 著者名/発表者名
      田中雅久
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] P4-ATPaseによる細胞ー細胞外マトリックス間接着の調節機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      宮野吏永
    • 学会等名
      第13回次世代を担う若手ファーマ・バイオフォーラム2014
    • 発表場所
      富山国際会議場
    • 年月日
      2014-09-20 – 2014-09-21

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公開日: 2016-05-27  

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