研究課題/領域番号 |
26460069
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山本 武範 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 講師 (80457324)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 透過性遷移 / 酵母 / オミクス解析 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアの透過性遷移は細胞死のトリガーとなっているマシナリーである。本研究は、酵母を使ったオミクス解析を利用して、ミトコンドリアの透過性遷移の誘導機構を明らかにすることを目的とする。この目的に向け、酵母細胞内のミトコンドリアに透過性遷移を誘起させる培養条件を最適化することは極めて重要である。そこで初年度は、このような酵母の至適な培養条件を検討した。その結果、非発酵性炭素源を含む培養溶液中に、透過性遷移の誘導剤であるカルシウムとカルシウムイオノフォアを至適濃度で添加することにより、酵母細胞の生育レベルが低下することが分かった。現在、このときのミトコンドリアが透過性遷移を起こしていることを確かめるため、電子顕微鏡によるミトコンドリアの形態解析を行っている。 一方、透過性遷移の誘導機構を解明に向けた別の切り口のアプローチとして、透過性遷移を誘導するペプチドであるマストパランについて、そのミトコンドリアへの作用機構を解析した。その結果、マストパランはミトコンドリアの特定のタンパク質ではなく、リン脂質を標的として透過性遷移を誘起することを明らかにすることができた(研究成果はThe FEBS Journalに受理された)。この結果は、これまで透過性遷移を人工的に制御するための分子標的としてミトコンドリアの特定のタンパク質が考えられてきたが、今後はリン脂質も標的となり得ることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オミクス解析を遂行するうえで重要となる表現系が明確に見える酵母の至適な培養条件を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、初年度に見出した培養条件で培養した酵母細胞内のミトコンドリアが実際に透過性遷移を起こしていることを確認する。確認できた場合には、この培養条件を使って、無作為に変異を導入した酵母から生育が回復する変異株を単離することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の物品の納品が平成27年3月末となったため、この分の支払いが平成27年4月となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年3月末に納品された物品の支払いを、平成27年4月に行う予定である。
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