研究課題/領域番号 |
26460071
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
森本 達也 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (50390779)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | GATA4 / p300 / 心筋細胞肥大 / 心不全 |
研究実績の概要 |
我々は内因性ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を有する p300 と GATA 転写因子群の協力(p300/GATA経路)が心不全発症における遺伝子発現調節に極めて重要であることを示した。次に、p300/GATA経路の活性制御機構解明の為に、その結合タンパクを精製し、質量分析により網羅的に解析し73個同定した。本研究では、新規結合タンパクの中でクロマチン修飾因子・転写制御因子である、(A)PRMT5/MEP50複合体、(B)SWI/SNF 複合体、(C)NuRD複合体、(D)N-CoR/SMRT複合体に着目し、p300/GATA経路制御機構の詳細な解明を行った。培養細胞を用いた実験で、PRMT5/MEP50複合体は、p300/GATA4によって相乗的に誘導される心肥大反応を抑制するが、SWI/SNF 複合体に含まれるIni1/hSNF5やNuRD複合体に含まれるRbAp48/46、N-CoR/SMRT複合体に含まれるTBLを過剰発現させると、p300/GATA4による肥大反応を抑制することを見出した。 次に心不全モデルである食塩感受性ダールラットを用いて検討したところ、心不全の進行に伴い、これら新規系都合タンパクとp300/GAT4との結合が変化することを見出さした。さらにPRMT5を心臓に過剰発現するマウスを作成し、大動脈縮窄術を施行したところ、圧負荷による心不全への進行を増悪することを見出した 今後さらに詳細なメカニズムを解明することにより、p300/GATA4経路を制御する新規心不全治療薬のターゲットとなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画が妥当であったため、実験は順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
心不全発症に関わるp300/GATA経路の制御機構解明の為に、その結合タンパクのトランスジェニックマウス及びノックアウトマウスを作成し、心不全発症メカニズムの検討を行う。また、心筋梗塞ラット、高血圧性心疾患ラットを用いてp300/GATA4とその結合タンパクの結合能の変化解析を行うことで、これらのタンパク質の役割を検討する。
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