レチノイン酸 (RA) は生体内で重要な作用を示すことから、癌、生活習慣病等の予防・治療の観点から注目されている。本研究では核内受容体とは別のRA作用機構であるレチノイル化 (RAによる蛋白質修飾) についてヒト白血病細胞を用いて検討を行った。先ず、新規レチノイル化蛋白質としてアクチン重合を制御するRhoGDIを同定した。また、レチノイル化プロテインキナーゼA (PKA) の生理的役割解明の検討を行い、RA処理によりPKAが安定化し核内移動すること、RAがヒストン分子の動態 (リン酸化等の蛋白質修飾) を変化させること、新規RA機構解明には他のPKA核内基質の同定が必須であることが判明した。
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