研究実績の概要 |
小麦胚芽無細胞タンパク質合成系を用いたユビキチンリガーゼタンパク質アレイ(Alpha Screen)を用いてチロシナーゼ特異的ユビキチンリガーゼの候補分子(MARCH3, RNF152)を同定した。RNF152は他のメラノソーム膜タンパク質(Tyrp-1)とは相互作用せず、特異的にチロシナーゼと相互作用・ユビキチン化することを明らかにした。RNF152によるチロシナーゼのユビキチン化・分解の分子機構を学会等で報告しており、今年中の論文投稿を目指している。 B16メラノーマ細胞およびチロシナーゼ特異的抗体を用いたCell-Based ELISA法を確立した。このシステムを用いて、天然物由来化合物から新規美白剤のスクリーニングを行っている。 チロシナーゼ銅シャペロンタンパク質の同定のため、チロシナーゼ-Halotag融合タンパク質を発現させるレンチウイルベクターを作成、現在安定発現細胞株を作成中である。このシステムを用いて、チロシナーゼ銅シャペロンタンパク質の同定を行う。 マウスメラノサイトにおける細胞内銅輸送体(CTR1,CTR2,ATP7A, ATP7B)の発現量抑制実験は特異的抗体の入手・作成が上手くいかず、現在行っていない。CTR1過剰発現細胞は作成できたが、培地中に低濃度の銅を添加すると細胞死を引き起こすため、銅濃度依存的なユビキチン化の検出が上手くいっていない。しかしながらこの細胞株は銅取り込み能が向上していることが予測され、細胞内銅輸送研究の材料として用いることが可能である。今後、細胞内金属輸送の研究への応用を考えていきたい。
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