研究実績の概要 |
既存のASモデルマウス(COL4A5 G5X、ナンセンス変異)を用いた病態解析について、種々の方法を用いて検討した。まず、病態早期 6週齢・12週齢ASマウスの初期病変部位である腎糸球体をサンプルとし、ペプチド化後、次世代型タンパク質非標識網羅的定量法であるSWATHプロテオミクスを行った。糸球体プロテオミクス解析の結果、12,153 peptide,2,175 protein を同定した。中でも、AS腎糸球体において、原因タンパク質a3/a4/a5(IV)異常を起因とする既知の表現型として、腎糸球体の細胞外基質関連タンパク質(Type IV collagen, Laminin etc.)、細胞運動・細胞骨格関連タンパク質(Rho GTPase 関連 etc.)、ポドサイト (糸球体上皮細胞) 機能タンパク質 (Podocin, Nephrin) の変動を認めた。また、発現変動タンパク質データよりパスウェイ解析を行なったところ、AS糸球体において、未知病態発症因子として早期より細胞内代謝関連タンパク質(TCA cycle, glycolysis, mitochondria etc.)が変動することを見出した。中でもミトコンドリア関連タンパク質は最も多くの発現変動が認められたことから、 AS糸球体における早期ミトコンドリア異常が示唆された。また、AS マウスを用いたマイクロアレイ解析から、STAT3経路が活性化することが見出された。
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