研究課題
これまでERADに関与する可能性があるとして同定した51種のE3については、その各組織における発現分布が不明なものが多かった。そこで、ADと関連した大脳皮質や海馬、ALSと関連した脊髄に発現するものに絞り込むため、ヒト組織を用いてreal-time PCR法を用いて確認した。まず、51種のE3だが、改めてデータベースとの照合を行ったところ、重複や現在遺伝子として登録されていないものが存在した。その結果、44種までに該当遺伝子が絞られた。その44種のE3遺伝子に関して、定量的PCRにより、中枢を含む23種の各種組織を検討したところ、その多くが中枢に発現していることが明らかとなった。また、亜鉛キレーターであるTPEN処理の影響について検討したところ、HRD1や小胞体シャペロンの一つであるBipの発現が誘導されたことから、小胞体ストレスの惹起が認められた。E3に直接影響を与えた結果か否かは不明であるが、亜鉛の機能低下と小胞体ストレスの関連性が示された。当初の計画では、E3の酸化ストレスによる不溶化や亜鉛欠乏による活性低下を検討する予定であったが、7種のE3をクローニングし、発現を確認したところ、いずれもタンパク質が不安定で、検出が難しいことが判明した。なお、過剰発現した細胞の免疫染色やin vitroの翻訳では、タンパク質は検出できた。おそらく、細胞内では自己ユビキチン化による代謝が早く、速やかに分解されると考えられる。以上のことから、タンパク質を対象としたユビキチンリアガーゼの不溶化や亜鉛欠乏による活性低下に関しては、研究を続行することが難しいと判断した。
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