研究課題
本研究課題の目的である炎症性疼痛および神経障害性疼痛における一次知覚神経のCav3.2 T型カルシウムチャネル(Tチャネル)機能亢進メカニズムについて検討を続けるとともに、得られた結果を論文にまとめ国際学術雑誌へ投稿を行っている。平成28年8月には、新規Tチャネル阻害薬RQ-00311651のTチャネル阻害様式を電気生理学的に検討し、さらにその鎮痛効果を様々な疼痛モデル動物で検討した論文が学術雑誌PAINに掲載された。ラットの第5腰神経切断(L5SNC)誘起神経障害性疼痛モデルを用いた実験では、このモデルで認められる一次知覚神経のCav3.2チャネル発現増加に転写因子early growth response 1(Egr-1)の発現誘導を介したCav3.2の転写促進と、脱ユビキチン化酵素のubiquitin-specific protease 5(USP5)の発現増加によるCav3.2の脱ユビキチン化とそれに続くCav3.2のプロテアソーム分解抑制が関与すること、これら反応の上流に核内タンパクの1つで炎症時に細胞外に遊離されてdamage-associated molecular patterns(DAMPs)として作用するhigh mobility group box 1(HMGB1)の関与が示唆されるとの知見を得ており、現在、論文を投稿している。さらに、神経障害性疼痛の発症に、損傷を受けた神経軸索周囲のシュワン細胞の活性化とその細胞から遊離される様々な因子の関与が示唆されていることから、新生ラット坐骨神経から単離、培養したシュワン細胞を用いて、神経障害性疼痛を誘起する各種抗がん剤の影響を、HMGB1遊離量を指標に検討している。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Pain
巻: 157 ページ: 1655-1665
10.1097/j.pain.0000000000000565
http://www.phar.kindai.ac.jp/byoutai/index.files/English-HP/byoutai-Eng.htm