• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

肥満症による末梢慢性炎症の脳内伝播過程において「鍵」となる脳ペリサイトの病変化

研究課題

研究課題/領域番号 26460113
研究機関福岡大学

研究代表者

高田 芙友子  福岡大学, 薬学部, 助教 (70412575)

研究分担者 道具 伸也  福岡大学, 薬学部, 准教授 (60399186)
片岡 泰文  福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードペリサイト / 肥満糖尿病 / 血液脳関門
研究実績の概要

●ペリサイト遊走におけるPDGFRbの役割
PDGF-BBはPDGFRb活性化を介してペリサイトを遊走する。その遊走へのPKCの関与を検討したところ、PDGFRbを介したペリサイト遊走はPKCμ活性化により誘導されることが明らかになった。
●肥満増悪・肥満形成関連因子によるペリサイト病変化
ペリサイト病変化を誘導する肥満増悪・関連因子を探索するためトロンビンおよびオンコスタチンMに着目した。肥満糖尿病病態では、糖尿病性認知機能低下症が易発症であり、それに先行してBBB障害が起こる。脳ペリサイトはBBB構成細胞であることから、肥満糖尿病病態下における脳ペリサイトの病変化がBBB障害およびそれに伴う脳内炎症を惹起する可能性がある。
肥満糖尿病モデルにおいて、血液中トロンビン濃度の上昇がBBB障害に先行することをこれまでに報告した。本年度はトロンビンによるペリサイトPKCδ/θ活性化が血液脳関門障害因子であるMMP-9の産生を誘導することを明らかにした。IL-6ファミリーであるオンコスタチンM(OSM)はBBB機能障害を誘導する。近年、OSMが肥満形成において、重要な役割を果たすことが報告された。以上のことから、OSMもまた肥満関連因子として脳ペリサイトの病変化を誘導し脳内炎症に関与する可能性がある。本年度は、OSMが脳ペリサイトSTAT3の持続的活性化を誘導することおよびBBB障害を増悪させることを明らかにした。肥満糖尿病によるBBB障害および脳内炎症におけるOSMの役割を明らかにするため、高脂肪食負荷マウスにおける血液中および脳内OSM濃度の測定を試みた。
以上より、本年度はPKC活性化がペリサイト病変化に伴うBBB障害および脳内炎症形成に重要な役割を果たす可能性を明らかにした。今後はペリサイトによる脳内炎症形成におけるトロンビンおよびOSMの役割について検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、PDGFRb活性化によるペリサイト病態の一つとして、ペリサイト遊走メカニズムを解明することができた。
さらに、ペリサイト病変化を誘導する候補因子として、肥満糖尿病関連因子であるトロンビンおよびオンコスタチンMを挙げることができた。
よって本研究はおおむね順調に進行していると考える。

今後の研究の推進方策

本年度は肥満関連因子であるトロンビンおよびオンコスタチンMがペリサイト病変化を誘導する可能性を明らかにした。今後は、トロンビンおよびオンコスタチンM応答性ペリサイトがミクログリアもしくはアストロサイトの活性化を誘導するかを検討する。
また、本年度は、肥満糖尿病モデルにおける血液中および脳内のオンコスタチンMの測定を試みたが、今回用いた測定方法では検出限界を下回った。今後は、サンプル作成方法および測定方法を再検討する必要がある。
さらに、PDGFRb活性化によるペリサイト病態を明らかにするため、PDGF-BBを負荷したペリサイトを用いてマイクロアレイを実施する。
本研究代表者は、2015年11月から2016年11月まで海外研修員として留学することを所属機関により命ぜられた。留学期間中は、研究分担者との連携を継続し、研究の遅延を最小限にするように努める。

次年度使用額が生じた理由

海外留学中で、当初予定していた学会へ参加できなかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

研究成果を報告するために、学会参加費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Brain pericytes are the most thrombin-sensitive matrix metalloproteinase-9-releasing cell type constituting the blood-brain barrier in vitro.2015

    • 著者名/発表者名
      3.Machida T, Takata F, Matsumoto J, Takenoshita H, Kimura I, Yamauchi A, Dohgu S, Kataoka Y
    • 雑誌名

      Neurosci Lett.

      巻: 599 ページ: 109-114

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2015.05.028.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 脳ペリサイトのPAR1-PKCδ/θシグナルはトロンビン誘発性MMP-9産生および血液脳関門障害に関与する2016

    • 著者名/発表者名
      道具伸也、町田崇、高田芙友子、木村郁也、松本純一、山内淳史、片岡泰文
    • 学会等名
      第89回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-03-09

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi