研究課題/領域番号 |
26460114
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
高濱 和夫 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (80150548)
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研究分担者 |
副田 二三夫 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (10336216)
三隅 将吾 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (40264311)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | GIRKチャネル / 新奇物体認識試験 / 5-HT1A受容体 / 5-HT7受容体 / チペピジン / ドパミン / 側坐核 / 前頭皮質 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、熊本では4月入ってすぐ大地震に見舞われ、建物・実験機器・器具・試薬などが甚大な被害を受け、実験を行なうことが不可能な事態が続いた。 夏休み前から徐々に実験が可能になったが、震災に加えて動物飼育施設が使用不可能な事態に陥り、また、実験の実施が困難になった。従って、研究実績はほとんど上がっていないが、実際に行なった実験で得た成績は以下のとおりである。 認知機能障害に対するチペピジンの改善作用メカニズムについて以下の成績を得た。 新奇物体認識試験において、MK-801誘発の認知機能阻害に対するチペピジンの改善作用は、5-HT1A受容体ブロッカーおよび5-HT7受容体刺激薬で抑制された。これらの成績から、チペピジンの認識機能改善作用は、5-HT1A受容体の活性化および、5-HT7受容体の抑制を介して発現していることが示唆された。 また、GIRKチャネルのKOマウスおよびその野生型を用いて、側坐核および前頭皮質のドパミンレベルに対するチペピジンの影響をマイクロダイアリシス法で検討しようと試みた。しかし、この実験は、ガイドかニューレの頭蓋骨への固定に失敗し、実験の中断を余儀なくされ、成果は上がっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年4月14日に前震、同16日未明に震度7の本震が熊本地方を襲った。これにより、熊本大学薬学部も甚大な被害を受け、実験・研究の中断を余儀なくされた。また、その地震から派生したものか不明であるが、実験動物飼育棟が汚染され、規定上、実験動物の飼育が行なえなくなった。これらの理由により、平成28年度は研究をまともに実施することができなかったことが研究が遅れている主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のような理由で、平成28年度は研究をほとんど進捗できなかったため、平成29年度まで、研究期間の延長を申請し、許可されたので、これまで実施できなかった点について、研究を推進する。 特に、GIRKチャネルKOマウスの表現型解析をさらに進め、1)側坐核でのドパミンレベルがどう変化しているか。2)側坐核へ投射する腹側被蓋野のドパミンニューロンの電気生理学的性質、また、正常動物を用いて、3)チペピジン投与動物の脳内のアミロイドβの蓄積はどう変化しているかなどを検討する。特に、1)については、ELISA法での検討を進めると同時に、マイクロダイアリシス法での検討も再度チャレンジする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、4月14日および16日に、熊本地方で震度6~7の大地震が発生し、その後震度4~5にも到る余震が頻発し、復興にかなりの時間を要した。また、それが遠因となったのか不明であるが、薬学部の実験動物舎が汚染され、動物の飼育が困難になった。動物の飼育に関しては、なお、飼育困難な事態が続いており、動物実験を主体とする本研究は遅滞を余儀なくされていることが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
1)マウスの側坐核および前頭皮質のドパミンレベルに対するチペピジンの影響を、ELISA法を用いて検討する。 2)GIRKチャネルのKOマウスの表現型解析を、電気生理学的手法、神経科学的手法および行動科学的手法を用いて進める。
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