研究実績の概要 |
ネギ属やツルバギア属、ニンニクカズラ属等の植物が生合成する含硫黄二次代謝物であるシステインスルホキシド誘導体やその生合成中間体、また植物の損傷時にシステインスルホキシド誘導体から生じる硫黄化合物群は、抗微生物活性、抗酸化活性、発癌抑制作用、免疫賦活作用、血小板凝集抑制作用、血圧降下作用、コレステロールおよびトリグリセリド低下作用等、重要な薬理活性を有する。本研究ではディープトランスクリプトームデータと硫黄代謝物プロファイルの統合解析を基盤として、システインスルホキシド誘導体の生合成に関わる酵素遺伝子の同定を行った。平成28年度に行った研究内容は以下のとおりである。1.平成27年度に引き続き、ニンニクのシステインスルホキシド誘導体の生合成において脱グリシル化反応、硫黄原子への炭素鎖付加反応、酸化反応をおこなうことが予想される候補遺伝子のクローニングと機能解析を進めた。2.ディープトランスクリプトームのデータマイニングにより、ニンニクのシステインスルホキシド誘導体の生合成において硫黄原子に付加される炭素鎖の生合成に関与する遺伝子の候補を同定した。3.ニンニクのシステインスルホキシド誘導体の生合成においてS-酸化反応を担うAsFMO1(Yoshimoto et al., Plant J, 83, 941-951, 2015)と高い配列相同性を示すタマネギのAcFMO1について機能解析を行った。4.ディープトランスクリプトームのデータマイニングにより、ツルバギア・ビオラセアやニンニクカズラのシステインスルホキシド誘導体の生合成に関与するS-酸化酵素遺伝子および脱グルタミル化酵素遺伝子の探索を行った。
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