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2015 年度 実施状況報告書

2型糖尿病モデルマウスにおける桑葉摂取による膵β細胞機能不全抑制機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26460121
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

亀井 加恵子  京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (00214544)

研究分担者 横出 正之  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20252447)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードインスリン抵抗性 / 膵β細胞 / 桑葉
研究実績の概要

桑葉には古くから糖尿病抑制効果が知られており、我々も肥満/2型糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)への桑葉の経口投与によって耐糖能異常が改善されることを報告している。糖尿病は、インスリン抵抗性と膵β細胞(インスリン産生細胞)機能不全により引き起こされる。我々は桑葉による耐糖能改善機構を検討した結果、桑葉を投与した肥満/2型糖尿病モデルマウスでは、糖尿病の進展に伴う膵β細胞機能不全が抑制されることを見出した。本研究では、桑葉の経口投与による耐糖能異常改善機構を明らかにすることを最終目標として、膵β細胞機能不全の抑制機構について検討した。
膵β細胞機能不全は、インスリン過剰産生によるタンパク合成の負荷(小胞体ストレス)および活性酸素種の増加(酸化ストレス)によりもたらされることが知られている。肥満/2型糖尿病モデルマウスに一定期間桑葉を経口投与した後、膵臓を採取し、小胞体ストレスマーカー4種について組織学的解析を行った。その結果、桑葉投与群では非投与群と比較して、CHOP、ATF4、XBP-1の発現が有意に低下しており、桑葉による小胞体ストレスの軽減効果が示唆された。
一方、我々の以前の研究で、桑葉の経口投与による膵β細胞の増殖効果を認めている。肝臓から分泌されるホルモンの一種βトロフィンが膵β細胞の増殖を促進する可能性が報告されていることから、桑葉を経口投与した肥満/2型糖尿病モデルマウスの肝臓の定量的RT-PCR解析の結果、βトロフィンmRNAの発現にはコントロール群と比べて有意差は認められなかった。
以上より、桑葉の経口投与による膵β細胞機能不全の抑制機構の一少なくとも一部は、膵β細胞の小胞体ストレス軽減によるアポトーシスの抑制であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肥満/2型糖尿病モデルマウスを用いて、桑葉の経口投与による膵β細胞機能不全抑制機構の一端を、小胞体ストレスの軽減によるアポトーシスの抑制であることを明らかにすることができた。そのため、概ね順調に研究が進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

桑葉の経口投与による耐糖能異常改善機構を明らかにするため、以下の検討を行う。
(1)肥満/2型糖尿病モデルマウスを用いて桑葉経口投与による小胞体ストレスの軽減効果を見出した。しかし、その有効成分、小胞体ストレス軽減機構等は不明である。そこで、培養膵β細胞を用いて、小胞体ストレスの軽減効果を持つ桑葉中の有効成分を同定する。具体的には、各種溶媒を用いて抽出した桑葉抽出物をβ-TC-6あるいはMIN6に添加し、アポトーシスおよび小胞体ストレスマーカーの発現を指標に、桑葉中の有効成分を単離し、LC/MS、NMRを駆使して構造を同定する。
(2)膵β細胞死の原因として、小胞体ストレスの他に酸化ストレスが考えられる。そこで、桑葉抽出物を添加した培養膵β細胞に、過酸化水素を加えて酸化ストレスを誘導し、細胞生存率の解析、TUNEL法による解析等によって、桑葉の効果を明らかにする。また、マウス個体から回収した臓器を用いて、各種酸化ストレスマーカーを評価する。
(3)桑葉を経口投与した肥満/2型糖尿病モデルマウスでは、膵β細胞の増殖が亢進していることを見出している。しかし、膵β細胞の増殖促進活性が報告されているβトロフィンの発現量に変化はなく、膵β細胞の増殖促進機構は不明である。桑葉による膵β細胞の増殖促進機構を解明するため、膵臓組織を用いた各種細胞内シグナルの活性化を検討する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Cantho University/University of Science, VNU-HCM/Hanoi Medical University(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      Cantho University/University of Science, VNU-HCM/Hanoi Medical University
  • [雑誌論文] Effect of Galangal (Alpinia galanga Linn.) Extract on the Growth Rate and Resistance to Vibrio harveyi and White Spot Diseases in Pacific White Shrimp (Litopenaeus vannamei).2015

    • 著者名/発表者名
      Tidaporn Chaweepack, Chutima Khomvilai, Surachart Chaweepack and Kaeko Kamei
    • 雑誌名

      J. Agricultural Science

      巻: 7 ページ: 117-128

    • DOI

      10.5539/jas.v7n9p117

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] The Potential of Galangal (Alpinia galang Linn.) Extract against the Pathogens that Cause White Feces Syndrome and Acute Hepatopancreatic Necrosis Disease (AHPND) in Pacific White Shrimp (Litopenaeus vannamei).2015

    • 著者名/発表者名
      Tidaporn Chaweepack, Boonyee Muenthaisong, Surachart Chaweepack and Kaeko Kamei
    • 雑誌名

      International Journal of Biology

      巻: 7 ページ: 1-10

    • DOI

      10.5539/ijb.v7n3p8

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 糖尿病モデルマウスにおける桑葉の経口投与による耐糖能改善機構2015

    • 著者名/発表者名
      柚木 英里, 岡田 峻明, 南 学, 村山 敏典, 横出 正之, 亀井 加恵子
    • 学会等名
      第88回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 桑葉抽出物による膵β細胞の細胞保護効果2015

    • 著者名/発表者名
      江角 拓麻, 岡田 峻明, 田村 友嗣, 南 学, 村山 敏典, 横出 正之, 亀井 加恵子
    • 学会等名
      第88回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] ショウジョウバエにおける脂質代謝関連遺伝子の機能2015

    • 著者名/発表者名
      劉 冠辰, Men T. Tran, Thi M. Dao, 山口 政光, 亀井 加恵子
    • 学会等名
      第88回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] Role of lipid storage droplet-associated gene in Drosophila wing development2015

    • 著者名/発表者名
      Men T. Tran, Masamitsu Yamaguchi, Kaeko Kamei
    • 学会等名
      第88回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [備考] 生体分子機能化学研究室

    • URL

      http://biomole-func-chem-turtle.jimdo.com

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公開日: 2017-01-06  

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