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桑葉には糖尿業抑制効果が知られている。活性物質の一つとしてα-グルコシダーゼの阻害剤である1-デオキシノジリマイシンが報告されている。我々のグループも、肥満・２型糖尿病モデルマウスに桑葉を経口投与することによって耐糖能異常が改善することを報告し、その機構として膵β細胞不全の抑制効果を見出している。本研究は、培養膵β細胞およびモデルマウスを用いて桑葉による膵β細胞不全抑制機構を解明することを目的に実施した。
これまでの研究で、桑葉を投与したdb/dbマウスでは、代償期における膵β細胞の細胞増殖が亢進することを明らかにしている。桑葉に含まれる膵β細胞増殖促進活性物質を同定するため、培養β細胞MIN6（マウス膵β細胞由来）を用いた。種々の条件での抽出方法を検討した結果、水抽出物にMIN6増殖促進効果を認めた。桑葉に含まれている既知の活性成分には、MIN6増殖促進効果が認められなかったことから、活性物質の単離・同定を試みた結果、新規フラボノイド配糖体であることを見出した。
7週齢より桑葉を経口投与を開始した肥満・２型糖尿病モデルマウスを用いた解析を行った。10週齢では、桑葉非投与群の方が桑葉投与群より血中のインスリンレベルが有意に高かった。15週齢では桑葉投与群では10週齢とほぼ同程度のインスリンレベルを維持しているのに対し、非投与群ではインスリンレベルが10週齢時の約30%程度まで低下し、その結果、桑葉投与群よりも低い値となった。これは、15週齢では桑葉非投与群において膵β細胞が機能不全になっているのに対し、桑葉投与群では機能が保たれていることを示唆している。10週齢、15週齢、20週齢でマウスより膵臓を採取し、アポトーシスに関連する因子を中心に組織学的解析およびmRNAの定量を行い、桑葉投与群では小胞体ストレスの軽減によってアポトーシスが抑制されていることを確かめた。
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