研究課題
D-アロースの血管病変の予防に及ぼす効果についてOLETFラットを用いて投与実験を行った。テイルカフ法による血圧測定、体脂肪率測定を毎週実施するとともに、心肥大や冠状動脈疾患や脳血管疾患、腎疾患の発症を調べ、血管イベントの発症に対するD-アロースの効果を判定した。現在解析を行っている。また病理検査を行っている。マクロファージ細胞を用いて行った抗炎症作用の解析では、炎症性サイトカイン(TNFα、インターロイキン類、MCP-1、MIFなど)の含量を測定したところ、D-アロースによりTNFαやMCP-1、インターロイキン6がD-アロースにより減少することが判った。D-アロースの抗炎症作用が確認されたことになる。D-アロースの体内動態を調べるため、アイソトープラベルしたD-アロース(14C-D-アロース)を作成した。健常ラットに投与(静脈内投与および経口投与)した。その後5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間において血液を採取し血中のアイソトープ量を測定することで血中半減期を解析した。その結果、D-アロースの血中半減期は約50分であった。また肝臓への蓄積が認められた。24時間以内にほとんどのアイソトープが尿中に回収された。脳への移行も認められた。ほとんど体内への残留はないことが判明した。
2: おおむね順調に進展している
D-アロースが血管病変の予防に及ぼす効果の解明とそのメカニズムの解明においては、動物実験の開始が年度後半からとなったが、進めることができた。ただ主な因子の解析と分析は平成27年度になる。D-アロースの抗炎症作用については、動物実験での検証と並行してマクロファージ細胞でも実験をして、炎症性サイトカインの分泌をD-アロースが抑えることを確認できた。D-アロースの体内動態および細胞内への取り込みの解析はかなり順調に進んだ。血中半減期も測定できた。臓器分布についても基礎データを取り終えた。現在オートラジオグラフィー試験を行っている。以上からおおむね順調に進展している。
D-アロースが血管病変の予防に及ぼす効果の解明とそのメカニズムの解明のいては、OLETFでの効果判定を行う。特にアディポサイトカインの変化や、D-アロースにより起こる糖代謝や脂質代謝の変化を解析することで血管病変に及ぼす影響に迫りたい。メタボローム解析を実施する計画である。心血管中枢である頭側延髄腹外側野(RVLM)においての活性酸素発生が重要とされる。そこでRVLMや他の部位においても、脳内NADPH oxidase活性および活性酸素種を測定する。またApurinic /apyrimidinic endonuclease/redox factor 1(APE/Ref-1)の染色性および陽性細胞数を測定することで酸化ストレスの程度を解析する。この他にMDAや8OHDAなどの酸化ストレスマーカーを調べる。抗炎症作用については、マクロファージ細胞により得られた結果の再現性を確認して、メカニズムに迫りたいと思う。D-アロースの体内動態および細胞内への取り込みの解析はオートらジオグラフィにおいて行う。
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