研究課題/領域番号 |
26460128
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
石山 亜紀 北里大学, 感染制御科学府, 助教 (70300746)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | pfFabI / マラリア原虫 / TypeII脂肪酸合成酵素 |
研究実績の概要 |
申請者の所属機関である北里大学北里生命科学研究所(以下、生命研)が保有する1,140サンプルの微生物培養液をスクリーニングし、既にpfFabI 阻害活性を示す培養液を4種見出している。これら培養液の生産菌を用い、発酵生産、単離、構造決定を行いpfFabI阻害活性物質として5化合物 (complestatin、panosialin A,D、vinaxanthone、methyl secospiculisporate)を単離した。これら化合物のpfFabI 阻害活性はIC50値で1.0-66.4 μMであった。Complestatinは最も強い阻害活性を示したが、その位置異性体であるchloropeptin IにはpfFabI阻害活性が見られなかった。Methyl secospiculosporateからは関連化合物2種(secospiculisporic acid、spiculisporic acid)も同時に単離したが、pfFabI阻害活性は見られなかった(IC50 >250 μM) 。抗生物質ライブラリーのスクリーニングをさらに進め、pyridomycin、vinaxanthone、anhydrofulvic acidにpfFabI阻害活を見出した(IC50 :10-87 μM)。 見出された化合物のpfFabI阻害活性は新知見であり、特にcomplestatinはFabI阻害活性自体が初の知見であった。In vitro培養マラリア原虫に対しては12.5 μg/mlで阻害活性を示すものは無かった。これらの成果について論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微生物培養液からpfFabI 阻害活性を指標として活性物質が取得された例は報告されていなかったが、本研究ではこれを遂行し、活性物質の取得に至った。特にcomplestatinの様にpfFabIのみならず、FabI阻害活性自体が初の知見となる成果が得られた。 当初の目標であった少なくとも活性物質5化合物以上の取得を目指す点においても、5化合物を単離、取得し、目標をクリアしているが、さらに新規化合物の取得も期待している。 得られた活性物質はその酵素阻害とは別にin vitro赤血球ステージの培養マラリア原虫に対する効果を併せ持たなかったが、逆に酵素特異的であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
マラリア原虫媒介蚊から得られるスポロゾイトをマウスへ接種する感染系を用いてpfFabI 阻害物質のマラリア感染防御活性評価系を構築し、最も強い阻害活性を示したcomplestatine について評価を行う(連携研究者北里大学獣医学部筏井宏実准教授の協力を得る)。評価系の作成は既に検討しており、条件の最適化を行う。あわせて評価化合物の大量取得を目指す。 Type II 脂肪酸合成系を有する他の病原体に対する創薬展開も期待し、抗菌、および抗トリパノソーマ原虫活性評価を進める。 新規物質獲得を目指し、スクリーニングを継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人権費、謝金分として88,000円が残高となった。物品費としてはマイナス1,150円であり、トータルで86,850円が生じた。謝金が派生するボランティアの数が未確定かつ年ごとに変動があるために差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
同様に謝金として使用するとともに、今後生じる剰余分は物品費などに計上する。
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