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2015 年度 実施状況報告書

赤痢アメーバ原虫特異的なシステイン合成酵素を阻害する微生物代謝産物の探索

研究課題

研究課題/領域番号 26460129
研究機関北里大学

研究代表者

森 美穂子  北里大学, 感染制御科学府, 助教 (20425648)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード赤痢アメーバ / Entamoeba histolytica / 微生物代謝産物 / システイン生合成 / xanthomegnin / pencolide / ovalicin
研究実績の概要

二年目にあたる平成27年度は、赤痢アメーバの2種類のシステイン合成酵素(CS1, CS3)を阻害する微生物培養液をスクリーニングした。土壌あるいは植物から単離した放線菌、糸状菌の培養液約2,700サンプルをスクリーニングし、各酵素を阻害するサンプルをそれぞれ約40-50サンプル、両酵素を阻害するサンプルを約30サンプル見出した。酵素阻害活性を示した一糸状菌を選択し、活性物質を単離したところ、Aspergillus属糸状菌が生産するpolyketide化合物xanthomegninに弱い酵素阻害活性を見出した。CS1およびCS3に対する50%阻害濃度は400-500 microMであった。
微生物培養液に加え、所属機関保有の天然化合物ライブラリーに新たに追加された160化合物のシステイン合成酵素阻害活性を調べ、新たに8化合物に酵素阻害活性を見出した。
初年度に構築した抗赤痢アメーバ原虫活性評価系を用いて、システイン生合成経路を阻害することにより抗赤痢アメーバ活性を示す物質と、システイン生合成経路阻害とは関係なく抗赤痢アメーバ活性を示す物質をそれぞれ微生物培養液より探索した。放線菌および糸状菌培養液約6,900サンプルをスクリーニングした結果、システイン生合成経路を阻害することで抗赤痢アメーバ活性を示すものを11サンプル見出した。これら活性を示した微生物培養液中からは、初年度に見出した活性物質pencolideが検出された。システイン生合成とは無関係に抗赤痢アメーバ活性を示す微生物培養液は31サンプル選択でき、活性物質として、ovalicinを単離した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酵素阻害活性物質に加え、より直接的に抗赤痢アメーバ活性を示す物質を、赤痢アメーバ原虫を用いたアッセイ系により見出すことができた。
平成27年度は酵素阻害活性を指標としたスクリーニングに供した微生物培養液サンプル数が少なかったが、それを補うスクリーニングを赤痢アメーバ原虫を用いた系で行うことができた。その結果見出した化合物の活性を動物試験で検証する予定となっている。

今後の研究の推進方策

赤痢アメーバのシステイン生合成経路を担うもう一つの酵素であるセリンーアセチル転移酵素の酵素阻害活性を評価する新たな系の構築を行い、スクリーニングを開始する。平成27年度開始できなかった阻害物質と酵素の共結晶構造解析を行う。
単離した抗赤痢アメーバ物質について、共同研究先である国立感染症研究所でin vivo試験を行う。結果により、標的タンパク質の同定を行う。
抗赤痢アメーバ活性物質のスクリーニングを継続し、新たな化合物を単離する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of natural inhibitors of Entamoeba histolytica cysteine synthase from microbial secondary metabolites2015

    • 著者名/発表者名
      Mori, M., Jeelani, G., Masada, Y., Sakai, K., Tsukui, K., Waluyo, D., Watanabe, Y., Nonaka, K., Matsumoto, A., Omura, S., Nozaki, T., Shiomi, K.
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 6 ページ: article 962

    • DOI

      10.3389/fmicb.2015.00962

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 微生物代謝産物からの抗赤痢アメーバ物質の探索2016

    • 著者名/発表者名
      柘植聡志、深澤航、森美穂子、野中健一、松本厚子、野崎智義、大村智、塩見和朗
    • 学会等名
      日本農芸化学会2016年度大会
    • 発表場所
      北海道札幌市、札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-03-28 – 2016-03-30
  • [学会発表] 微生物二次代謝産物からの赤痢アメーバ特異的システイン合成酵素阻害化合物の探索2016

    • 著者名/発表者名
      森美穂子、深澤航、伯耆原愛、柘植聡志、野中健一、松本厚子、野崎智義、大村智、塩見和朗
    • 学会等名
      日本農芸化学会2016年度大会
    • 発表場所
      北海道札幌市、札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2016-03-28 – 2016-03-30
  • [学会発表] 糸状菌が生産する赤痢アメーバ特異的システイン生合成経路阻害物質2015

    • 著者名/発表者名
      酒井一成、森美穂子、柘植聡志、野中健一、増間碌郎、野崎智義、塩見和朗、大村智
    • 学会等名
      日本菌学会第59回大会
    • 発表場所
      沖縄県那覇市、那覇市ぶんかテンブス館
    • 年月日
      2015-05-16 – 2015-05-17
  • [備考] 北里生命科学研究所 微生物応用化学研究室

    • URL

      http://www.kitasato-u.ac.jp/lisci/labo/BioFuncWeb/Index.html

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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