研究課題/領域番号 |
26460132
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
安齊 洋次郎 東邦大学, 薬学部, 教授 (20318299)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抗生物質 / P450酵素 / 応用微生物 |
研究実績の概要 |
放線菌Micromonospora rosaria IFO13697が生産する16員環マクロライド抗生物質rosamicinの生合成に関与する多機能型チトクロームP450酵素であるRosCタンパク質を大量発現した大腸菌による生物変換によりrosamicinの20位がカルボキシル基に変換され20-carboxyrosamicinとなることを変換物質のNMR解析により確認された。RosCの3段階の酸化反応に関与するRosCタンパク質のアミノ酸残基の同定はランダム突然変異法を行っている。この方法では多数の変異導入遺伝子の評価が必要であり、rosamicinを基質として用いた酸化反応において発生するNAD+の量を指標とする簡便な方法を確立した。現在、RosCの特徴的な機能である3段階の酸化反応(rosamicin 20位の酸化、脱水素、酸化)のそれぞれに関与するアミノ酸残基の同定を試みている。 ポリエン系抗真菌薬amphotericinのカルボキシル基形成機構に関与すると考えられているチトクロームP450酵素AmphNの機能解析のためにamphotericin生産菌 Streptomyces nodosus NBRC 12895 からamphN遺伝子欠損株の作成を種々の方法を用いて進めているが未だ取得出来ていない。今後、AmphNの機能解析についてはin vitroの手法などの導入も検討したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RosCによるrosamicinから20-carboxyrosamicinへの変換は確認され、現在、RosCの3段階の酸化反応に関与するRosCタンパク質のアミノ酸残基の同定を進めている。当初、このアミノ酸残基の同定は平成28年度には終了する予定であった。AmphNの機能解析については、amphN遺伝子欠損株の取得が予想以上に手間取っているため、進展がみられていない。以上のことより、平成28年度の実験計画はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
RosCの多段階酸化反応に関与するアミノ酸残基の同定に関する実験結果を基に、rosC変異遺伝子による抗生物質生産を試みる。生産に用いる放線菌はrosamicin生産菌のM. rosaria IFO13697の他、種々の抗生物質を生産する放線菌も用いて新たな抗生物質の生産を試みる。また、AmphNの機能解析についてはamphN遺伝子欠損株の取得には拘らず、様々な手法を用いて進める予定である。そして、その結果を基にamphN変異遺伝子を用いた新たな抗生物質の生産を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
AmphNの機能解析の研究を次の段階へ進めることが出来なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、当初より計画していた実験に加え、平成28年度から継続して進めているRosCの多段階酸化反応に関与するアミノ酸残基の同定やAmphNの機能解析を行うため、平成29年度の支出は平成28年度と同等あるいはそれ以上が見込まれる。なお、平成29年度は本研究課題の最終年度であるため、次年度使用額(20,847円)を含めた直接経費は全て支出すると予想される。
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