研究課題/領域番号 |
26460135
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
中村 誠宏 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (20411035)
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研究分担者 |
松田 久司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40288593)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メディシナルフラワー / 潰瘍性大腸炎 / 好中球 / 脱顆粒抑制作用 / キンモクセイ花部 / トリテルペン / 金針花 / イランイランノキ花部 |
研究実績の概要 |
本研究では、応募者の研究室で保有している植物資源ライブラリーの中からメディシナルフラワー (薬用花) を厳選・探索資源とし、ヒト急性前骨髄性白血病 (HL-60) 細胞由来の好中球様細胞における脱顆粒抑制作用や遊走能抑制作用など主に好中球様細胞を用いた評価系により潰瘍性大腸炎に対して有効と判断される成分の探索を行う。また、発見した活性成分から活性発現の必須構造などの構造と活性相関を解析するとともに作用メカニズムの解析を行い潰瘍性大腸炎の治療薬としての候補物質を提案することを目的とする。今年度は,キンモクセイ (Osmanthus fragrans var. aurantiacus) 花部から数種の新規成分を含むトリテルペン、メガスチグマンなど計 73 種の成分を単離した。得られた成分について、好中球様細胞における fMLP 刺激下の β-hexosaminidase 遊離抑制作用 (脱顆粒抑制) 作用を検討したところ, トリテルペン類 [arujunolic acid、maslinic acid、 dammarolic acid、3-O-trans-caffeoyltormentic acid] が有意な抑制作用を示すことを見出すとともに構造と活性に関する知見が得られた。また、得られたトリテルペン類は 一酸化窒素産生抑制活性を示すことが明らかになった. 一方、イランイランノキ (Cananga odorata) 花部から新規セスキテルペン類を、金針花 daylily (Hemerocallis fulva var. kwanso、H. flava、H. minor 花部) から希な構造であるピロール環を有する新規グルタミン誘導体を単離,構造決定した。さらに、アッサム種茶花 、ボタン花部およびシャクヤク花部から新規トリテルペン配糖体、モノテルペン配糖体などを単離した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応募者の研究室で保有している数種のメディシナルフラワーのエキスが、ヒト急性前骨髄性白血病 (HL-60) 細胞由来の好中球様細胞における脱顆粒抑制作用を示すことなどを見出した。また、キンモクセイ (Osmanthus fragrans var. aurantiacus) 花部から得られたトリテルペン類が好中球様細胞における fMLP 刺激下の β-hexosaminidase 遊離抑制作用 (脱顆粒抑制) 作用を示すことを明らかにするとともに構造活性相関について有用な知見を得ることができた。また、数種のメディシナルフラワーから多様な成分を単離することができた。以上から、平成 26 年度の当初計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成 26 年度に絞り込んだメディシナルフラワーを素材として用い、引き続き活性成分の探索を継続して実施する。また、平成 26 年度に得られた成分については、活性を評価するとともに活性成分の化学誘導などを行い構造活性相関の解明を進め、より有効な物質の開発を行う。また、有望な成分およびその誘導体については、作用メカニズムの解明研究を進める。
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