研究課題
本研究では、メディシナルフラワー (薬用花) を探索資源とし、ヒト急性前骨髄性白血病 (HL-60) 細胞由来の好中球様細胞における脱顆粒抑制作用など主に好中球様細胞を用いた評価系により潰瘍性大腸炎に対して有効と判断される成分の探索を行う。また、活性成分から関連化合物を合成しそれらの活性比較を行い、構造活性相関を解析するとともに作用メカニズムの解析を行い潰瘍性大腸炎の治療薬としての候補物質を提案することを目的とする。今年度は、チャ花部のトリテルペン配糖体分画から脱配糖体化を進めアシル化トリテルペンへと導き、それらを用い誘導体合成を行うとともに昨年度に引き続きキンモクセイ花部からトリテルペン成分を単離し、トリテルペン誘導体に関して好中球様細胞の脱顆粒抑制作用の検討を行った。その結果、トリテルペン骨格の23位に水酸基が存在すると活性が増強することや6位の水酸基の存在は活性を減弱させることなど構造活性相関に関する知見を得ることができた。また、活性化合物であるトリテルペンmaslinic acid のシグナル伝達に及ぼす作用を検討したところ、10―30μMの前処置において、p38 MAPKのリン酸化抑制および ERK1/2のリン酸化抑制が認められその作用機序にp38 MAPKおよび ERK1/2までの系のリン酸化抑制が一部関与していることが示唆させた。さらに、maslinic acid などを主要成分とするムラサキフトモモ種子の抽出エキスにマウス耳介におけるPMA誘発ミエロペルオキシダーゼ活性上昇および浮腫に対する抑制作用を認められた。加えて、昨年度に引き続いてキンモクセイ花部からクマル酸成分、サザンカ花部、椿花部、ボタン花部、シャクヤク花部などからアシル化フラボノール配糖体を単離するとともに桂皮酸誘導体合成を行い一酸化窒素産生抑制作用に対する構造活性相関に対する知見を得た。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Natural Product Communications
巻: 11 ページ: 1123-1128
Journal of Natural Medicines
巻: 70 ページ: 689-701
DOI:10.1007/s11418-016-1021-1
https://www.kyoto-phu.ac.jp/education_research/laboratory/?c=laboratory_view&pk=4