研究課題/領域番号 |
26460140
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
伊藤 卓也 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (90517484)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生合成 / 放線菌 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
α-グルコシダーゼ阻害活性を示すトレスタチンおよびアミロスタチンは、それぞれ放線菌Streptomyces dimorphogenesおよび S. conglobatusから産生されるC7Nアミノサイクリトール化合物である。この類縁化合物のアカルボースは、同様にα-グルコシダーゼ阻害活性を示し、糖尿病治療薬として上市されている。このことから、トレスタチンおよびアミロスタチンを化学変換できれば、新たな糖尿病薬が開発できると期待されている。 トレスタチンおよびアミロスタチン生産菌を培養し、染色体DNAから遺伝子ライブラリーを構築した。また、ゲノムシーケンサーを用いてドラフト配列を取得し、両化合物の生合成に関わる遺伝子クラスターを特定した。さらに、この配列を基にプライマーを作製してPCRスクリーニングをすることにより、遺伝子ライブラリーから目的のクローンを獲得することに成功した。 これら生合成遺伝子を解析したところ、アミノサイクリトール部分(C7N部分)を生合成する2-epi-5-epi-valiolone合成酵素など種々の酵素が存在していることがわかった。また、糖部分を縮合させるグルコシルトランスフェラーゼが含まれていることが明らかになった。 現在、これら酵素群が生合成に関わることを確認する目的で、遺伝子破壊株の作製を試みており、シャトルベクターの作製に取りかかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に示した計画の進捗状況は概ね順調であると考えている。 その理由として 1)トレスタチン生産菌Streptomyces dimorphogenesおよびアミロスタチン生産菌Streptomyces conglobatusからの遺伝子ライブラリーの作製に成功している。 2)トレスタチンおよびアミロスタチンの生合成遺伝子クラスターを特定する目的で、ゲノムシーケンサーなど分子生物学的および遺伝子工学的手法を用いて、ドラフト配列を得た。また、ホモロジー検索を行い、生合成酵素遺伝子を特定することができた。 3)遺伝子破壊株作製のためのベクターの作製に取りかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子破壊株を作製するため、ノックアウトベクターの構築を行う。また、得られた遺伝子破壊株から新たな化合物の生産を試みる予定である。さらに、クラスター内の酵素に対して、タンパク質発現などを行い、機能の解析を行うことを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年1月1日で徳島文理大学薬学部から富山大学和漢医薬学総合研究所に着任したため、平成26年度途中での異動であった。そのため、大学間の手続きの関係上、助成金の使用を停止していた時期があった。このことから、請求額に大きな差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、異動によるセットアップも完了し、前年度に繰り越した分も含めて計画通りに助成金を使用する。
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