研究実績の概要 |
糖尿病合併症、動脈硬化症および皮膚老化、骨粗鬆症などの老化性病態の発症や進展に終末糖化生成物 Advanced glycation end products (AGEs) 構造体の CML (Nε-carboxy-methyl lysine) や CMA (Nω-carboxymethyl arginine) の関与が報告されている。そこで、これら AGEs (CML, CMA)の生成を阻害することで、糖尿病合併症や老化性病態の予防・改善に活用できる天然有機化合物の発見を目指し研究を行っている。 これまでに行った抗CML、抗CMA抗体を用いる競合的ELISA 法による生薬エキスのスクリーニングの結果、イカリソウに含まれるプレニルフラボノイド類に顕著な生成阻害活性が認められた。さらに検討を進めたところ、ハーブティーとして飲用されているローズレッドエキスにCML, CMA 生成阻害活性が観測されたことから、阻害活性を有する化合物の単離を目的に抽出分離を行った。その結果、 1)ローズレッドの AGEs (CMA, CML) 生成阻害活性画分より、 RR-1~4 と仮称する4種の化合物を単離した。 2)RR-1~4 の AGEs (CMA, CML) 生成阻害活性試験の結果、 RR-2~4 にポジティブコントロールの aminoguanidine, pyridoxamine と同等、もしくはそれ以上の阻害活性が観測された。また、共通してB 環にカテコール基があることが阻害活性に重要であると推察された。一方、水溶性の抗酸化剤である vitamin C に強い阻害活性は認められなかった。 以上、ローズレッドの AGEs (CMA, CML) 生成阻害活性は、単離収量の多い RR-4 (=Isoquercetin ) の寄与があるものと推定された。
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