研究課題/領域番号 |
26460146
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
椛島 力 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (20274673)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エイズ / HIV / アプタマー / siRNA / 変異 / 薬剤耐性 / プロテアーゼ / CD4 |
研究実績の概要 |
本研究は、薬剤耐性ウイルスも含めたHIV感染症の治療に貢献することを目的に、HIVのウイルス酵素を標的として、アプタマー-siRNAを用いた新規抗HIV薬を開発するものである。現在、HIVプロテアーゼや逆転写酵素、インテグラーゼなどのHIV由来の酵素に対する低分子の阻害剤を使用することで、エイズの発症を抑制できるが、HIV感染を完治するまでには至っておらず、このため、長期間の服用による薬剤耐性ウイルスの出現が治療上の重大な問題となっている。本研究では、野生型だけでなく変異型酵素にも適応することが容易であるsiRNAを用い、さらに、HIVの感染に必要なCD4を認識するアプタマーを使用することによって、感染細胞のみを標的とした、HIV感染に選択的で副作用の少ない新規の薬剤開発が期待できる。 HIVプロテアーゼを標的とした4種類のsiRNAを合成し、HIVプロテアーゼの発現抑制効果を比較したところ、全てのsiRNAで発現抑制効果がみられたが、その効果には差が有ることが分かった。これらの中で、最も高い効果を示したsiRNA239と、CD4を認識するDNAアプタマーを連結させた核酸分子を作製した。このとき、DNAアプタマーとsiRNA239の連結部分の長さを変えた2種類の分子(DASおよびDAS-3T)を作製した。DASおよびDAS-3TのHIVプロテアーゼの発現抑制効果を、real-time PCRで調べたところ、両分子ともに発現抑制効果を示したが、DASの方がより高い効果を示した。この結果は、アプタマーやsiRNAの配列に加えて、連結部分も考慮することで、より治療効果の高い分子を開発できることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、HIVプロテアーゼの発現を抑制できる効果的なアプタマー-siRNAを作製できた。また、配列を変更することで、発現抑制効果に差が有ることがわかったので、これらの情報を基に、新規エイズ治療薬としてのアプタマー-siRNAの開発を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今後、DASおよびDAS-3T の実験結果をもとに、配列を変更した核酸分子を作製し、より効果的なアプタマー-siRNAを開発する。また、HIVプロテアーゼや逆転写酵素に対するアプタマーが報告されたことから、これらのHIV酵素に対する阻害作用も調べ、臨床応用できるアプタマー-siRNAの開発を目指す。
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