研究課題
1.AKRの特異的阻害剤の創製:過去の検討にて最も強力なAKR1B10阻害活性を示すが、構造類似酵素であるAKR1B1に対する活性が低いクロメン誘導体の創製に成功している。腫瘍尾静脈投与による肺転移モデルを作成し、AKR1B10阻害剤によるin vivoでの抗腫瘍効果を検討した。その結果、vehicleのみで48時間刺激したルシフェラーゼ発現A549 (A549-Luc2) 細胞を注入した群での肺転移形成と比べて、AKR1B10阻害剤で刺激したA549-Luc2細胞を投与した群では顕著に肺転移形成は抑制された。2.AKRの一塩基多型 (SNP):前年度見出したAKR1C3の新規遺伝子変異体C154Yの熱に対する安定性低下の原因の解明を行った。熱処理によるC154Yの失活はグリセロール、NADPHや拮抗阻害剤の添加で抑制され、示差走査蛍光定量法からこれらの添加剤がC154Yとの相互作用を介して、構造安定性を向上させたことが明らかとなった。さらにCys154をフェニルアラニンとセリンにそれぞれ置換した変異体C154FとC154Sを調製したところ、C154FのみでC154Yと同程度の失活が認められた。円偏光二色性分析とANS蛍光分析からCys154の嵩高い芳香族アミノ酸への置換がαへリックスの崩壊に伴う全体的な二次構造変化をもたらしたと推測された。また、C154Y変異が与える影響について細胞レベルで検討した。AKR1C3は酸化ストレス時に生成される4-oxo-2-nonenal (ONE) などの毒性アルデヒドを解毒代謝する。AKR1C3 WTのHEK293細胞への過剰発現はONE毒性を有意に軽減したが、C154Yの過剰発現はONE毒性に対して防御効果を示さなかった。従って、C154Y変異体は細胞レベルで不活性変異体であると示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Chem. Biol. Interact.
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10.1016/j.cbi.2016.12.018
Biochem. Pharmacol.
10.1016/j.bcp.2017.04.023
http://sv1.gifu-pu.ac.jp/lab/seika/