研究実績の概要 |
エストロゲン受容体β選択的アゴニストの開発を目的としてヨウ素置換のカルボラニルフェノール誘導体10種の設計、合成、活性評価を行った。o-, m-, p-カルボランの種類とヨウ素の置換位置により選択性の変化が認められ、4-(9,10-idiodo-m-carboran-1-yl)phenolのERβへの親和性はエストラジオールより強く、ERαとの選択性は14倍であることを見出した。 女性ホルモンであるエストラジオールの代謝体2-methoxyestradiolはエストロゲン受容体との親和性は著しく低下し、一方で細胞増殖抑制活性を示す。著者らの開発したカルボラン含有ERアゴニストのメトキシ体及びそのスルファメートに種々のがん細胞に対する増殖抑制活性とステロイドスルファターゼ阻害活性を見出した。 カルボラン含有ERアゴニストを基本骨格とするがん細胞の増殖阻害化合物の設計、合成を行った。カルボラニルフェノールのエチル体及びそのスルファメートが種々のがん細胞に対する増殖抑制活性を示すと共に、エストラジオールの前駆体であるエストロンスルフェートからエストロンへの変換酵素であるステロイドスルファターゼを強力に阻害することを見出した。 アミロイドβの凝集阻害薬はアルツハイマーの治療、予防に有効と期待されている。その活性を有するロスマリン酸をリード化合物として25種の化合物を合成し、凝集阻害活性を検討した。2種の化合物が最も活性が強く、ペノール性水酸基と分子の疎水性が本活性に重要であることを見出した。
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