・フェニル基の重要性を検証する目的でメサドンからフェニル基1個とアミノ基のα位に存在するメチル基を除去した化合物を合成したが、本化合物はモルヒネ感受性、非感受性μ受容体スプライスバリアント(MOR-SV)のいずれにも作用しないことが明らかとなっている(報告済)。この原因として、1)フェニル基を除去したことにより化合物の自由度が高くなりすぎたこと(報告済)、2)除去したメチル基がメサドンにおいてマジックメチル効果(1個のメチル基を導入することにより、化合物の活性が数倍から数百倍向上する現象)を有していたことの2つの可能性を考え、これらの可能性を検証する化合物を合成した。 ・1)の可能性を検証するために、メサドンの2個のフェニル基のうち1個をメチル基に変換しメチル基を除去した化合物を設計し合成の検討をしていたが、第四級炭素の構築がうまくいっていなかった。しかし種々の方法を検討し、プレニル型の亜鉛試薬を用いることにより第四級炭素の構築を達成した。設計化合物のモルヒネ非感受性MOR-SVに対する作用については、現在検討中である。 ・2)の可能性を検証するために、メサドンからメチル基を除去した化合物(ノルメサドン)をメサドンの合成法に従い合成した。ノルメサドンのモルヒネ非感受性MOR-SVに対する作用については、現在検討中である。 ・4位にフェニル基を有する置換基を導入したモルヒナン誘導体の設計・合成を行った。17位置換基としてはシクロプロピルメチル(CPM)基またはメチル基とした。設計化合物6種のうち4種の合成を終えたが、そのうち3種(いずれも17-CPM体)はκ受容体に対する作用が認められたため、モルヒネ非感受性MOR-SVに対する作用の検討は行えなかった。17-メチル体についてはκ受容体に対する作用が弱かったため、現在モルヒネ非感受性MOR-SVに対する作用を検討中である。
|