研究課題/領域番号 |
26460157
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
袴田 航 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10333337)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 抗ウイルス薬 / スクリーニング / 糖鎖 |
研究実績の概要 |
新型インフルエンザ等、毎年のように新しいウイルス感染症が報告されているが、抗ウイルス薬は非常に限られている。2015年には、新たにジカ熱が流行したが有効な抗ウイルス剤は存在しなかった。このように、細菌感染症に対する抗生物質に比べ、抗ウイルス薬の開発は大きく遅れており新規な抗ウイルス薬の開発が喫緊の課題となっている。 本研究では、薬剤耐性ウイルスの出現回避を目指しウイルス宿主の酵素を標葯酵素とした抗ウイルス薬開発を行う。そこで、ウイルスコートタンパク質の糖鎖合成阻害がウイルスの感染性を大幅に低下させる事に着目し、これら糖鎖合成を司る酵素の阻生剤は薬剤耐性回避型抗ウイルス薬となると考え、培養細胞内で機能する糖鎖合成酵素特異的蛍光基質を合成し、化合惕ライプラリから阻害剤スクリーニングを行い、抗ウイルス薬のリード化合物を得ることを目的として研究を行った。 はじめに標的酵素の基質特性解析・酵素とのドッキングシミュレーションにづき、キノンメチド開裂反応を利用した蛍光基質の分子設計を行い、小胞体に局在する標的酵素活性の特異的検出を目指した3色(赤・青・緑)の蛍光基質の合成を行った。次に、合成したそれらの基質が標的酵素の存在するオルガネラである小胞体を特異的に蛍光染色するか認を行なった結果、三種のヒト培養細胞で小胞体を特異的に染色することを明らかにした。 そこで、標的酵素の既知阻害剤の阻害活性を指標として、合成した蛍光基質用いて基質の決定(赤・青・緑)の3色の蛍光基質から検討)・基質濃度・インキュべーション時間・細胞種・培養培地組成等の条件を詳細に検討し、阻害剤スクリーニング系の構築に成功した。現在は化合物ライブラリからの阻害剤スクリーニングを試みている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに合成した小胞体に局在する標的酵素活性の特異的検出を目指した3色(赤・青・緑)の蛍光基質を用いて構築した、阻害剤スクリーニング系の最適化に成功した。現在は予定どおり化合物ライブラリからの阻害剤スクリーニングを行っており、手応えをつかんでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度以降は、最適化された培養細胞を用いた阻害剤スクリーニング系を用いて、化合物ライプラリから小胞体グルコシダーゼ阻害剤のスクリーニングを引き続き行う。スクリーニングを行う第一の化合物ライプラリとして、理化学研究所ケミカルバイオロジー研究基盤施設創薬ケミカルバンク基盤ユニット天然化合物バンク「NPDepo」ライブラリを用いているが、より幅広い化合物空間を持つ多様性のあるライブラリを用いることで新規阻害剤のヒット率が向上すると考えられることから、次のライブラリとして、東京大学創薬等支援技 術基盤プラットフォーム制御拠点が所有する化合物ライブラリのうち「General Library」と「core Library」の申請と購入を予定している。化合物ライブラリからヒット化合物群を得たのち、これら化合物の細胞毒性・濃度依存性・時間依存性等を評価し、最終ヒット化合物を選抜する。これらの化合物は、国立感染症研究所において抗ウイルス活性を測定していただく予定である。感染研とは抗ウイルス活性スクリーニング研究において共同研究の実績がある。また、本課題の化合物からの阻害剤スクリーニングは、大学院生2名を研究協力者として遂行していく予定である。
|