研究課題
固体発光性顔料色素である 2-benzothiazol-2-yl-phenol (BTP) を aglycone とする glycosidase 基質開発の一環として、特に sialic acid 誘導体を中心に研究を継続した。2-benzothiazol-2-yl-4-bromo-phenol (BTP3) の sialic acid 付加体を用いたライブ蛍光イメージングに於いて、sialidase によって遊離した蛍光色素が加水分解地点から移動(拡散)することによって、イメージング画像の解像度が粗くなることが問題となっていた。このため、昨年度来 BTP3 を別の BTP 誘導体に置き換えて拡散性を抑えて解像度の向上を目指していた。遷移金属を用いるカップリング反応によって BTP3 の臭素原子を長さの異なる炭化水素鎖に置き換えた誘導体は、合成の簡便さ、定着性の向上という点では目的を十分に達成できた。しかし、alkenyl-基、alkynyl-基を導入した誘導体は光ブリーチングに対する耐性が低いことが予想され、より向上した光耐性の獲得と同時に高い輝度を両立した誘導体の開発を行った。種々検討した結果、定着性の向上に長鎖 alkyl-基を、また、輝度の改善に臭素原子を導入した誘導体は、高い定着性、明るい輝度、構造的に高い光耐性を併せ持ちながら、従来型の BTP3 の誘導体と類似した励起波長・蛍光波長を持つことが明らかとなった。この色素を aglycone とするsialic acid 誘導体を用いて、インフルエンザA型ウイルスを感染させた MDCK 細胞を用いてインフルエンザウイルスのライブイメージングを行ったところ、alkyl-基の炭素数に応じて定着性が向上すること、また、炭素数12個程度では感度が低くなることが明らかとなった。
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PLOS ONE
巻: 5 ページ: e0156400
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Biological & Pharmaceutical Bulletin
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巻: 11 ページ: e0165257
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