研究課題/領域番号 |
26460167
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
井上 祐一 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (20284911)
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研究分担者 |
川原 浩治 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (20321515)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒト細胞株 / 医療用タンパク質 / GMP |
研究実績の概要 |
ヒトES細胞やiPS細胞による再生医療の実現化に伴い、今後、大量のサイトカインが必要になると考えられる。しかしながら、現在使用されているサイトカインはほとんどが研究用試薬であり、医療用のものは少ない。そこで本研究では、医療用タンパク質を生産可能なGood Manufacturing Practice(GMP)対応ヒト細胞株を新たに樹立するために、まず非GMP環境下でヒト末梢血リンパ球から細胞株を樹立する条件を確立し、樹立したヒト細胞株の特性を調べた。 フィコール密度勾配遠心法によりヒト末梢血リンパ球を分離し、発癌促進剤Phorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)及びIL-6を加えた12.5%FBS-ERDF培地で1週間培養を行った後、培地交換をしながら高密度のまま3ヶ月間培養を続けた。その結果、3つのクローンを取得することができた。すべてのクローンは1年以上の継代培養可能であり、代表的な不死化マーカーの一つであるtelomerase reverse transcriptase(TERT)も発現していた。また、3クローンともいずれかの抗体を生産しており、細胞表面抗原の結果からもBリンパ球系であることが分かった。従って、本研究の条件は今後のGMP環境下でのヒト細胞株の樹立にも役立ち、主に分泌タンパク質の生産に有効であると考えられた。 一方で、リンパ球で発現効率が高いベクターを構築するために、プロモーターのクローニングを行ったが、今回取得したDNA配列ではプロモーター活性が確認できなかったため、引き続き検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非GMP環境下であるが、ヒト細胞株を樹立するための条件が少なくとも一つ見つかり、医療用タンパク質生産用の新規ヒト細胞株を樹立できる可能性の目処がたったため。
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今後の研究の推進方策 |
・新規GMP対応ヒト細胞株の樹立とマスターセルバンクの作製 平成26年度の樹立条件に基づき、新規GMP対応ヒト細胞株の樹立を試みる。細胞形態や増殖能を指標として最適なクローンを選択し、マスターセルバンクを作製する。
・細胞のタンパク質発現活性化および培養最適化 非GMP環境下で取得したクローンや既存のヒト細胞株SC-01MFPを用いてタンパク質発現活性化法を検討する。また、Bリンパ球系に適切なプロモーターのクローニングも試みる。得られた結果をGMP対応ヒト細胞株に応用し、培養条件を最適化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費や旅費でそれぞれ少額の残金が生じたが、合わせても必要な物品を購入するには不足していたため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分の助成金と合わせて必要な物品を購入する。
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