研究課題
【目的】標的タンパク質の表面に結合できるペプチドをリガンドとして用いた分解誘導剤の開発を行うことを目的とした。モデル受容体として、ユビキチン-プロテアソーム系で分解できるエストロゲン受容体(ER)を標的とした分解誘導ペプチドの開発を行った。すなわち、cIAPリガンド(ベスタチン:BS)とER阻害ペプチド(PERM-1)をスペーサーで繋いだ分子を合成し、ERの分解を評価した。【方法】 強いER結合親和性を持つPERM-1にBSを繋いだ分子(BS-PERM-1)を合成した。ヒト乳癌細胞由来MCF-7を用いてBS-PERM-1のER分解能をウェスタンブロッティングにより評価した。【結果・考察】BS-PERM-1のER分解能を評価した結果、BS-PERM-1はERαを分解していないこと、さらに、PERM-1、BS-PERM-1ともに細胞死を誘導していないことが明らかとなった。その原因として、これらのペプチドが細胞膜を通過していない可能性が考えられた。そこで、PERM-1の膜透過性を評価すること、さらに膜透過フラグメント(R7)を導入することで膜透過性を高めることを目的として、ペプチドFAM-PERM-1-R7を合成した。それらの膜透過能の評価を行った結果、FAM-PERM-1 は10μMにおいても細胞膜を透過できないこと、一方でR7修飾したFAM-PERM-1-R7は0.1μMでも細胞内へ導入されることを明らかとした。現在、PERM-1-R7のER阻害活性評価、PERM-1-R7にBSを導入した分解誘導ペプチドを合成中である。
2: おおむね順調に進展している
本年は、ペプチドの効率的合成法(マイクロ波を利用した迅速合成)の確立と細胞評価系の構築を行った。また、目的ペプチドを効率的に細胞内へと導入する手法を確立した。
次年度以降は下記の4段階に分けて研究を遂行する。1.合成したペプチドのER転写活性化阻害能の評価(エストロゲン刺激によるpS2の発現上昇を指標にペプチドの阻害効果を評価)2.ウェスタンブロッティングによるER分解能の評価3.ペプチドの構造最適化4.他の疾患関連タンパク質(アンドロゲン受容体、ビタミンD受容体、Mdm2受容体など)への応用
エストロゲン受容体親和性測定キットの購入を次年度に繰り越したため。
親和性測定キットの購入を行う。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 13件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (35件) (うち招待講演 1件)
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