研究課題
【目的】標的タンパク質の表面に結合できるペプチドをリガンドとして用いた分解誘導剤の開発を行うことを目的とした。モデルタンパク質として、ユビキチン-プロテアソーム系で分解できるエストロゲン受容体(ER)を標的とした分解誘導ペプチドの開発を行った。すなわち、cIAPリガンド(MV1)とER阻害ペプチド(PERM3)、細胞膜透過ペプチド(R7)をスペーサーで繋いだ分子MV1-PERM3-R7を合成し、そのER分解能を評価した。【方法】 ERに対して強い結合親和性を持つPERM3のC末端にR7を、N末端にPEGスペーサーを介してMV1を繋いだ分子(MV1-PERM3-R7)を合成した。ヒト乳癌細胞由来MCF-7を用いてMV1-PERM3-R7のER 分解能をウェスタンブロッティングにより評価した。【結果・考察】ペプチドスクリーニングの結果、PERM3のN末端リジン(K)側鎖に一定の長さ以上のPEGスペーサーを介してMV1を導入したペプチドがER分解活性を持つことが明らかとなった。PEGスペーサーをアミドリンカーに置換したペプチドについても同等の活性を有していた。またこれらのペプチドは、ERと同じコアクチベータ(SRC-1)に作用するアンドロゲン受容体(AR)の分解も誘導できることが明らかとなった。今後は、他の核内受容体への展開を検討する。
2: おおむね順調に進展している
本年は、核内受容体であるエストロゲン受容体、アンドロゲン受容体の分解誘導ペプチドの開発に成功した。
次年度は下記の3段階に分けて研究を遂行する。1.分解誘導活性を示したペプチドの構造最適化2.他の核内受容体への応用3.他の疾患関連タンパク質(Mdm2、Notchなど)への応用
細胞評価のための消耗品購入を次年度に繰り越したため。
他の受容体に対する親和性測定キットの購入をおこなう。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 14件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (46件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
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