研究課題/領域番号 |
26460173
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
石田 功 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00415556)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多剤耐性緑膿菌 / 薬剤排出ポンプ / コリスチン |
研究実績の概要 |
多剤耐性緑膿菌で発現が亢進している、排出ポンプ(OprM)開口部細胞外突出ループ2に結合する一本鎖抗体のDNA 配列情報を基に、単量体、2量体、3量体A(3個をリンカーを介して直列につないだ抗体)、3量体B(C末のLeucine Zipperを介して3個束ねた抗体)遺伝子をデザインして人工合成した。これらのVHH抗体遺伝子を大腸菌で発現させ、可溶性画分をProteinAカラムで精製して、高い純度の組換えタンパク質を得た。ペプチド系抗菌薬のコリスチンの存在下で高度多剤耐性緑膿菌(NCGM2.S1株)、一般株(PAO-1株)を含む培養液に3量体Bを添加すると、コリスチンのMIC(最小発育阻止濃度)が4分の1に低下することがわかった。一方、他の抗菌薬(アズトレオナム、オフロキサシン、アミカシン、ゲンタマイシン)存在下では、MICは変化しなかった。3量体Bとコリスチンの細胞毒性を検討した。ヒト肝癌由来細胞(HepG2)に、3量体B、コリスチンをそれぞれ加えて48時間培養後、水溶性テトラゾリウム塩を用いて生細胞数測定を行った。3量体B抗体、コリスチンをそれぞれ、MICの6倍濃度、60倍濃度で添加しても、HepG2の増殖には影響しなかった。コリスチンの副作用は腎障害と神経毒性であり、腎障害は用量依存的に発現頻度が高くなるとされる。VHH抗体とコリスチンの併用により、コリスチンの使用量を減少させることができるため、治療に用いる際の副作用発現を抑えられる可能性がある。疾患モデル動物での薬効が確認されれば、特許出願して特許を取得する価値があり、これらを医薬品として開発する製薬企業スポンサーを探せると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画時には、薬剤排出ポンプ結合抗体を緑膿菌に添加することで、排出ポンプで排出されると想定される抗菌薬のMIC(最小発育阻止濃度)を低下させることができると考えたが、実際にはコリスチンのMICを低下させることのみできた。他の抗菌薬(アズトレオナム、オフロキサシン、アミカシン、ゲンタマイシン)では無効であった。しかし、コリスチンは多剤耐性グラム陰性菌感染症にとって最後の砦となる抗菌薬であるが、副作用(腎障害、神経毒性)が知られており、ヒトへの投与量を減らせることは、臨床上に大きなメリットがあると考える。研究計画時には、H28年度(最終年度)に疾患モデル動物での薬効を確認する予定であったが、未だ出来ていない。この理由は、大腸菌から精製できる一本鎖抗体3量体Bタンパク質の量が十分でないことが理由であった。
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今後の研究の推進方策 |
大腸菌から精製できる抗体タンパク質量を改善するため、組換えタンパク質発現誘導時の菌培養の温度条件、発現誘導するための乳糖誘導体(IPTG)濃度をいろいろに変化させて、収率を向上させることを目指す。 緑膿菌感染疾患モデルマウスについては、国際医療センター研究所感染制御部との連携で進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で見出した遺伝子組み換え一本鎖抗体の生産性を上げることに時間がかかっている。疾患モデルマウスを用いて、インビボ活性を見るまでに至らなかったために、その費用が次年度に回った。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、遺伝子組み換えタンパク質の生産性を上げることに注力し、疾患モデルマウスに使えるタンパク質量を確保できるようにする。
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