研究課題/領域番号 |
26460176
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 教授 (50182572)
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研究分担者 |
畑 明寿 千葉科学大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10433690)
圓藤 吟史 公益財団法人大原記念労働科学研究所, その他部局等, 研究員 (20160393)
加藤 孝一 日本大学, 薬学部, 准教授 (60246931)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ジメチルモノチオアルシン酸 / ジメチルアルシン酸 / ジメチルヒ素 |
研究実績の概要 |
昨年度の結果に基づき、再現性の確認のため合成したジメチルチオアルシン酸、ジメチル亜ヒ酸ーSG複合体を用いて、in vitro系での代謝活性化機構の推定を行った。HPLC-ICP-MS、HPLC-TOFMS、GC、GC-MSなどを用いて代謝物を推定した。 その結果、海産食品中に含まれるアルセノシュガーの代謝物として知られるジメチルモノチオアルシン酸はGSHとの反応で、同代謝物として知られるジメチルアルシン酸とは大きく異なることが示唆された。すなわち、ジメチルアルシン酸はGSHと反応することでジメチル亜ヒ酸またはジメチル亜ヒ酸―GSH抱合体を形成するが、ジメチルモノチオアルシン酸の場合では比較的安定した5価のジメチルヒ素としてジメチルモノチオアルシン酸-GSH抱合体を形成する。その後、経時的にジメチル亜ヒ酸またはジメチル亜ヒ酸―GSH抱合体、硫化水素、ジメチルメルカプトアルシン、ジメチルジチオアルシン酸に変換されることを明らかにし、その代謝反応経路を推定することができた。昨年度に行った概略的な結果に基づき、食品中に含まれる有機ヒ素の二つの主要代謝物として知られるジメチルアルシン酸とジメチルモノチオアルシン酸に関して、その毒性発現機序の解明の一助として、代謝経路を比較検討しながら、今年度は詳細に検討し、ジメチルモノチオアルシン酸の今までに学術論文として報告がない、大変ユニークな代謝機序の詳細をin vitro実験ながら明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年に続き、食品中に含まれるメチルヒ素化合物の中間代謝物であるジメチルモノチオアルシン酸の代謝に着目し検討した。特に、その毒性発現への関与が疑われているGSHとの代謝機序について、他の中間代謝物として知られるジメチルアルシン酸の代謝機序と比較しながら、HPLC-ICPMS、HPLC-TOFMS、HPLC-PDA、GC-MS、GC-FPD等を駆使して、ジメチルモノチオアルシン酸の代謝機序の詳細をin vitroながら明らかにした。この成果はJournal of Trace Elements in Medicine and Biology. vol.33(2016)に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
ジメチルモノチオアルシン酸の代謝活性化機構の検討の結果に基づきヒト肝腫瘍細胞株などを用いた細胞系での毒性発現における代謝活性化機序の検討を行う予定である。あわせて、ジメチルモノチオアルシン酸の代謝活性化における遺伝毒性の有無を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の学会出張が別の所用で行けなくなったこと、及び情報収集が当初の目標より速やかにできたことなどから、経費を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度に繰り越し、学会発表の出張費として使用する予定である。
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