研究課題
新規食物アレルギー原因物質の簡易的な評価方法が模索されている。アレルゲンのin vitroレベルでのスクリーニングにおいては、ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)由来樹状細胞や骨髄由来樹状細胞(BMDC)が用いられている。しかし、ヒト血液の入手が容易でないこと、ドナー間でのバラつきがあること、さらには倫理的な問題など多くの問題を抱えている。本研究では、ヒト単球系細胞株から分化した培養樹状細胞(TDDC)を用いて抗原感作性評価法を確立した。TDDCに食物アレルゲンのオボアルブミン(OVA)を0.01~0.5 mg/mLの濃度で添加しフローサイトメトリーでHLA-DRの発現量を測定した。その結果、HLA-DR発現量は抗原濃度依存的に増加することが示された。特に、0.1 mg/mLおよび0.5 mg/mL添加時において、有意なHLA-DR発現増加が認められた。各種食物アレルゲンを添加したところ、オボムコイド、β-ラクトグロブリン、ソバ由来アレルゲンの添加によってHLA-DR発現量の有意な増加が示された。これに対して、非アレルゲンのウシ血清アルブミン添加時では、大きな変化は認められなかった。またTDDCの遊走能を測定した結果、抗原提示能と同様の傾向が示された。TDDCを用いた評価法においては、抗原提示能、細胞遊走能、およびケモカイン関連因子の測定により、ヒト血液を用いずに食物タンパク質の抗原感作性をin vitroで評価できることが示唆された。さらに同評価法がハプテン抗原にも応用可能であるか検討を行った。DNP-BSA の添加により、HLA-DR、CD86の発現量および IL-8 産生量が有意に増加した。BSA単体では変化は認められなかったことから、同評価法はハプテン抗原にも応用可能であることが示された。
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Japanese Journal of Food Chemistry and Safety
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