研究課題
マラリアの制圧戦略の一つに、早期発見(診断)と適切な早期治療が提唱されている。しかし、適切な早期治療へと繋がる早期発見に関しては問題点が多い。そこで申請者は、これまで研究を進めている細胞チップとマラリア寄生原理を利用した、高感度・迅速・簡易なマラリア検出技術を基礎として、細胞チップ上のチャンバー内で分子生物学、生化学の反応を行うことでマラリア原虫種同定法の確立およびハイスループットな抗マラリア薬スクリーニング法(薬剤耐性試験法)の構築を目指す。これにより早期発見、治療の方向性を決める様な原虫種、薬剤耐性といった細胞機能解析を一気通貫的に行うことができ、適切な早期治療へ繋げることができる。本年度は特に昨年度まで積み上げてきた各チャンバーに一定数赤血球が入る条件下で、薬剤耐性評価までの全ての行程(マラリア検出、培養、薬剤耐性評価)をオンチップ化することに取り組んだ。全ての工程を連続させ行い培養後マラリア原虫の遺伝子(actin-1)を検出できたものの、薬剤耐性タイピングのための遺伝子増幅がうまくいかない事が明らかとなった(培養の工程で目的細胞がはがれ、チャンバー内の標的遺伝子量が検出限界以下になっていると想定される)。今後も薬剤耐性判断までのすべての工程をオンチップ上で行う方法を見出すために個々の工程で決定した条件(チップの形状の、培養条件、PCR条件)について微調整を繰り返し目標の達成を目指す。また、本研究計画からは外れるがマラリア臨床現場で本手法の実証を行う必要性があることから、感染流行地域(アフリカ、ミャンマーなど)でのサンプリングを目指し倫理委員会を含め国内外の各関係機関と連携を進めていた。概ねサンプリングの目途を立てることができた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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